「俺は仕事で疲れている」
その日は土曜日で、夫がお風呂掃除をして掃除機をかける担当の日でした。しかし、夫はソファーに転がったままスマホをいじり、一向に動く気配はありません。
結婚を機に一緒に暮らすこととなった私たち。一緒に暮らす前に、夫が率先して「家事は2人で協力してやろう!」と言っていたのですが、夫が家事に協力的だったのは結婚して半年だけでした。夫が体調を崩したときに私が夫の代わりに家事をおこなって以降、夫は家事をしなくなってしまったのです。
「最近、家事を手伝ってくれないよね?」と夫に不満を伝えると、夫は「こっちは仕事で疲れているんだから!」と返してきました。休日くらいは休ませてほしいということだろうと思いますが、その気持ちは私も同じです。夫の言葉に納得できなかった私は、「家事の分担はあなたが決めたことでしょ?」と反論してしまいました。
話し合う余地なく義母へ電話する夫
すると、夫は「そんなことを言った覚えはない! 証拠は?」と、子どものような言い訳をし出したのです。夫の発言に呆れてしまったものの、言い返そうとした次の瞬間、夫は突然起き上がって持っていたスマホを耳にあてました。
そして、「もしもし! 母さん聞いてくれよ〜」と、義母に告げ口をするように電話をし始めたのです。私が義母には強く出られないことを知っての行動だと察しました。義母は夫に「電話を交代するように」と言ったようで、夫は私にスマホを渡してきました。
そして私は義母に「あの子は仕事で疲れているようだから、家事くらいあなたがやらなきゃね」と言われてしまったのでした。その場では、義母に謝ることしかできませんでした。
ピンチがチャンスに!
電話を終えると、夫は「してやったり」な表情。もちろん私は納得などできるはずはありません。そして、ここでひるんだらこれから先も夫は同じことを続けてしまうと思いました。
そのため負けじと「で、家事分担のことだけど、ご存知の通り私は家政婦ではないよ。家事をしたくないなら私にその分の報酬を出すか、それとも別居するか?」と夫に言い放ちました。
すると夫は、まさか「別居」などという言葉が出てくるとは思わなかったのでしょう。驚いた様子で一瞬考えたのち、「申し訳ございませんでした。以前話した通り、家事は協力しておこないます」と謝ってくれたのでした。謝罪を受け入れつつも、また「証拠は?」と言われたら困るので、夫にも許可を得て、このときのことは一応証拠として動画に収めておきました。
翌日から夫の態度が一変し、積極的に分担した家事をおこなうようになりました。そして、2人で家事を分担するうちに夫は家事に目覚めたのか、今では自ら庭の草むしりまでしてくれるように。自発的にやってくれていてとても助かっています。家事や育児は女性だけがやるものではなく、夫婦で協力しておこなうものだと感じます。もちろん、疲れているときや体調が悪いときは無理強いはしません。それでも、あのとき強く出なければ、新婚早々、私だけの家事負担になっていたかもしれません。改めて、夫婦は支え合うことが大事だと感じた出来事でした。
著者/灰ジン
イラスト/ののぱ
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