近頃は「実家に泊まる」と言って、夫はなかなか家に帰ってきません。しかし、義母によると、夫はごはんだけ食べて帰ったとのこと。もしかして……と思った私に、義母は「かわいいい彼女の家にでも行ったのかしらね」「出来損ないの嫁を持ってしまったんだもの、浮気のひとつやふたつしたくなるわよね」と不安を煽るようなことを言い出したのです――。
浮気されて当然!?
結婚前から、私のことを良く思っていなかったらしい義母。おなかの子が女の子だとわかると、さらにあたりは強くなりました。
「家にいても役立たずなんだし、里帰りでもしたらどうかしら」「あら、私としたことが!ご実家のお父さんは入院中だものね、里帰りなんてできる状況じゃなかったわね~」「あなたがいなくなれば息子も堂々と浮気できるだろうに……」
母親自ら息子の浮気環境を整えようとするなんて……。この母親にして、あの息子ありだと思ってしまいました。
見つけた浮気の証拠…
3時間後――。
不安になった私は、こっそり夫の書斎を調べました。すると出るわ出るわ、浮気の証拠が。浮気相手は会社の後輩のようです。
珍しく早く帰ってきた夫に、私は浮気について問いただしました。「つわりだとか言って、家事もまともにできない嫁にはうんざりなんだよ!」「俺が浮気をする羽目になったのはお前のせいだ!」と開き直る始末。
「専業主婦の分際で旦那様に生意気な態度を取るとは馬鹿な女め」
「俺と離婚したらホームレス確定だぞ」
「もう離婚してますけど?」
「は?」
毎日のように「俺に逆らったら離婚だ」と言われていた私。時には記入済みの離婚届を投げつけられて「サインして出しておけ」と命じられたこともありました。
そこで、私は元夫の命令通り、その離婚届を役所に出してきたのです。義母からも「あなた以外のお嫁さんがほしいから離婚しろ」と常日頃から言われていましたし。
「お前は専業主婦なんだぞ!?俺がいないと生活できないだろ!」と途端に焦り出した元夫に、私は淡々と「慰謝料と財産分与で当分の生活費はなんとかなるし、その後も養育費はしっかり払ってもらいますから」と告げました。
「離婚するなんて言うなよ!俺、ちゃんと子どものこと楽しみにしているんだ」「おなかの子どものためにも離婚はよくないよ」と急にしおらしくなった元夫。しかし、今の環境で子育てする方が子どもにはよくないでしょう。
事情を知った義母は
翌日――。
元夫から事情を聞いたらしい義母から、怒りの電話がかかってきました。
「あなたのわがままでうちの息子を振り回すなんて!あなたには1円たりとも払いませんからね!」とたいそうお怒りの義母。しかし、覚悟を決めた私はもう何も怖くありませんでした。
「じゃあ、お義母さんの暮らしている家、売りに出しましょうか!」
義父が亡くなったときに、「どうせ譲るから」と家の名義を元夫に変更した義母。しかし、相続手続きが面倒になった元夫は、私に名義を変更し、すべての手続きを丸投げしたのです。
「ホームレスになりたくなかったら、慰謝料と養育費をちゃんと払ってくださーい!」とだけ言って、私は電話を切りました。
その後――。
闘病生活を乗り越えて退院した父が身重の私に代わって、元夫から慰謝料と養育費をしっかり回収。まとまったお金を手に入れた私は、実家に戻って無事に出産しました。強面の父も、今ではやさしいおじいちゃんです。しばらくは両親の助けを借りながらですが、この子を立派に育てられるようがんばります!