足を伝う何かに嫌な予感
大学生のころのある夏の日のことです。私は朝寝坊をしてしまい、とにかく駅までダッシュ。ギリギリで乗りたい電車に乗ることができました。
そして、電車に乗ることができたことにホッとして、ドア付近の手すりに掴まって呼吸を整えていたとき、ふと生理予定日だったことを思い出しました。「ナプキンをつけてくればよかったなー……。でも、ナプキンは持ってきているから駅に着いたら早めにトイレに行ってナプキンをつけよう」と考えていると……なんだが嫌な予感がして……。
スカートの中の足にツーッと何かが伝う感触があったのです。「もしや……」と思ったときにはもう手遅れ。足を伝って経血が足元のサンダルまで流れてきているのが見えました。慌ててスカートから見えてしまっていた部分の経血をサッとハンカチで拭き上げましたが、私の頭の中は「どうしよう」という気持ちでいっぱいでした。
見知らぬ女性から声をかけられて
大学の最寄りの駅まで待つわけにはいかないと「次の駅で降りなければ……」と思っていたとき、見知らぬ女性から声をかけられたのです。50代くらいの女性で、彼女はとても小さな声で「隣の車両にお手洗いがありますよ」と。
突然のことにびっくりしましたが、その女性が付き添ってくれることになり、私は隣の車両のお手洗いへ。私は持ってきていたサニタリーショーツにはき替え、ナプキンを装着。立っていたためか、スカートに汚れはついていませんでした。
女性の勇気ある神対応に感謝
そして私がお手洗いから出ると、女性はお手洗いのドアの前で待っていてくれました。お礼を伝えると、女性が座っていたところからたまたま私が立っているところがよく見えたようで、私が足に伝う経血を拭いているのを見て察してくださったとのこと。拭いているときに声をかけたら周りも怪しむだろうから、少し時間を空けて立ち上がってきてくれたそうです。
「声をかけるのが遅くなってごめんね」と言われましたが、私にとって遅いなんて感覚はもちろんありませんでした。むしろ、恥ずかしくて焦っていた私にとっての救世主でしかありません。女性の勇気ある行動と、周りにバレないようにサッと小さな声で声をかけてくれ、お手洗いへ連れ添ってくれたことに感謝の気持ちでいっぱいです。
今回、私は電車の中で女性による神対応で、これ以上恥ずかしい思いをすることがなく救われました。この女性には感謝の気持ちしか伝えられませんでしたが、いつか私も同じように困っている人がいるときには勇気を出して声をかけ、助けたいと思うように。
そして何よりも、生理予定日の日はもっと時間に余裕を持って出かけられるようにも気をつけるようになりました。
著者/なかまる あゆみ
作画/ちゃこ
監修/助産師 松田玲子
ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように!