おしゃべり中は気が気でなく…
20歳のころ、私が働いていたのは夜はお酒を出す喫茶店。男性マスターとアルバイトだけで回している小さなお店でした。その日、生理中だった私は夜帯の勤務。お客様にお酒を出したり、コーヒーを出したりと仕事をしながらも、カウンターに座っていた常連のお客様との会話も楽しんでいました。
しかし、カウンターのお客様と話をするうちに「そろそろナプキンを替えないとマズいかも」ということに気づきました。思えば、勤務を開始してから長い時間トイレには行っていません。
「トイレに行かなきゃ」と感じてからは、正直、お客様との会話中も「漏れてないかな?」「うまく会話を終わらせないと」と気が気でなくて……。焦りで顔が引きつっていたかもしれません。
あ! 落ちた!
トイレはカウンター席のすぐ横。お店にくるのは男性のお客様が多いこともあって、どこか恥ずかしさから「トイレにはこっそり入らなきゃ」という思いを抱いていました。
そして、お客様との会話にマスターも入ってきて、マスターとお客様の会話が弾んだタイミングでこっそりトイレへ向かおうとすると……。ぽろりと何かが床に。見ると……それは生理用ナプキン!
思わず「あ!」と声が出てしまい、お客様とマスターの視線が私に。落ちたナプキンもしっかり見られてしまいました。
急いで拾い、私は慌ててトイレへ。普段、ナプキンは生理用ポーチに入れてカウンターの端の自分のバッグの中に忍ばせているのですが、この日は経血量が多い日だったということもあって、下着のゴムのところにナプキンを挟んでいたのです。いつもならこんなことはないのですが、こっそりトイレに行こうと思って体勢が不自然になったのでしょう。挟んでいたナプキンがぽろりと床に落ちてしまいました。
まさかの失敗に、目がチカチカするほど恥ずかしい気持ちでいっぱいでした。
その後、恥ずかしい気持ちをなんとか抑えトイレを出ましたが、マスターとお客様は何事もなかったように接してくれました。私にとっては、変に「大丈夫?」などと言われたらより恥ずかしい気持ちになっていたと思うので、2人の対応にはとても助かりました。トイレに行きたいと思うのは男女共に変わらないもの。男性が多い職場だからとなぜか「こっそりいかなきゃ」と思っていた私でしたが、変に隠さず、堂々とトイレに行けばいいし、行けばよかった……と思った経験でした。
著者/匿名
作画/ちゃこ
監修/助産師 松田玲子
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