最初は楽しい雰囲気だったのに
彼は社内でも人気のある2つ年上の先輩でした。さわやか系のイケメンで高身長。仕事もできるし、周りの社員からの好感度も高いハイスペックな人。私はそんな先輩から、まさかの告白をされたのです! 私自身ももちろん憧れを抱いていてOKし、お付き合いすることになりました。
初めてのデートは、映画を観てからカフェでランチという王道コース。緊張しながらの待ち合わせでしたが、会って早々に「今日の姿、かわいいね」と褒められ私は有頂天に。映画も楽しく観られ、カフェに向かう間も映画の感想で会話が弾み、絶えず和やかな雰囲気でした。最初こそ緊張していましたが、「彼との距離が少し近づいたかも」と、私は思っていたのです。
しかし、カフェに入るあたりから、だんだんと彼の口数が少なくなったような気が……。朝からずっと話を振ってくれていた彼。だからこそ、私のことを気づかってくれていたんだと感じ、「初めて過ごすから話題もそんなに続かないよね」と思っていました。
そこで、私はカフェのメニューの話題を振ろうと「ランチメニュー、いろいろあってどれもおいしそうですね! どうしま……」と彼のほうに視線を向けると……。
なんと彼は、涙で瞳を潤ませ、唇を噛みしめているではありませんか!
突然、無言で涙を流し出した彼
無言で涙を堪える彼。そんな姿を目の前にして私は動揺してしまいました。「私、なにかやらかした?」「どこ? どこが悪かった?」と不安ばかりが押し寄せてきますが、パニックの頭で考えても答えは出ません。そして、「あ、あの、大丈夫ですか?」と声をかけると……。
「ごめん、実は朝から歯が痛くて……」と、消え入りそうな声で返事が。
なんと実は歯痛があったようなのですが、彼もこの日をずっと楽しみにしていたらしく、「痛み止めと気合いでなんとか乗りきれるだろう」と思っていたよう。しかし、デート中に歯がどんどん痛くなり、でも私には情けないと思われたくなくてグルグル考えていたら泣いてしまったのだとか。
彼の言葉にとても驚いたのと同時に、そこまで私とのデートを楽しみにしてくれ、泣いてしまうほどの痛みを我慢していたなんてと、素直にうれしさもありました。だからこそ、幻滅などするわけがありません! その思いを伝え、心配だからこそ今日は解散しようと切り出し、後日改めて同じお店でカフェデートをすることになったのでした。
この彼とは結婚には至りませんでしたが、今振り返っても素敵な思い出ばかりで当時の私はとても幸せでした! 私に「これだけ好きだ」としっかり伝えてくれる人で「“いい恋愛”ってこういうことなのかな」と思わせてくれた人です。現在は彼とタイプは異なるものの、私を大切にしてくれる人と出会い、時々ケンカもしますが楽しい日々を過ごしています!
著者/匿名
イラスト/ほや助
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