海外で暮らしていると、文化の違いにびっくりしたり、困ったり、逆にそれをおもしろく感じたりすることが多々ありますが、子育てに関しても異なることが多々あります。そのなかでも、モロッコで子育てをして、日本に帰国した際に困ることが2つあります。
順番待ちをしないモロッコの子どもたち
モロッコの公園で遊んでいるとたびたび困るのが、順番待ちについてです。ブランコの場合は、小さい子どもを乗せようと一緒に順番待ちをしている親御さんもいるので、横入りしようとする子どもがいると親たちが止めに入るうえに、ブランコに一人で乗るような子はちょっと大きい子どもです。そのため、それほど順番待ちが乱れることはありませんが、すべり台は大変です。
子どもたちがすべり台にやってくると、階段にどっと押し寄せ、我先にと並んでいた子どもたちを押しのけて階段をのぼっていきます。順番待ちすることを日本で教え込まれている娘は、抜かされていくのを呆然と見つめ、その後、半泣きになります。
順番待ちをさせるか、我先にと行かせるか
親としては、順番をきちんと守ってほしいと思う一方で、モロッコで順番待ちをしっかりしていてはすべり台をすべれないので、娘にどう伝えるべきか迷います。結局、すべり台の場合、娘と一緒に並び、横入りをしようとする子どもたちが娘を抜かさないように、しっかり娘をガードするのですが、人数が多く、勢いもすごいので大変です。
親御さんたちは、しっかり順番を守るように子どもたちに教えているようですし、また、小学校3年生くらいを過ぎると、きちんと小さい子を守りながら順番を守っている子どももたくさんいるので、モロッコが並ばない文化、ということではないようです。日本の子どもたちが、2歳くらいから順番を守っていることがすごすぎるのでしょうか。
きれいに食べると「満足していない」!?
幼いときに日本でよく注意されたことのひとつに、「残さず綺麗に食べましょう」というものがあると思います。ご飯の一粒でさえ残さず食べることを「よし」としている地域が日本では多いと思いますが、モロッコでは、きれいに食べると、次々にお皿に食べ物を追加されます。
そもそも、大皿に載った食べ物を直接、みんなで食べる習慣なので、小皿に取り分ける、ということは少ないのですが、わたしや娘がいると、気を遣って小皿に分けてくれます。日本人の感覚で、お皿に載ったものをきれいに平らげると、すぐに次が追加されます。
お皿に食べ残しがあって初めて、おなかがいっぱいのサインとなるのです。そのため、日本で娘がちょっと残しているのに「全部食べた」と言っても注意できない自分がいます。
もう少し娘が大きくなれば、郷に入れば郷に従え、の精神で、「モロッコではこうしなさい」「日本ではこうしなさい」と言えるのですが、まだ日本とモロッコという国があるということさえ理解していない娘に違いを伝えることは混乱させることでしかないので、どう伝えるべきか非常に迷います。いつか、その違いを娘が「おもしろい」と言えるように伝えていければと思っています。(TEXT:ヒロコ ラメッシェ)