転職先が決まり有休消化に入っていたとき、「もう転職もそうそうしないだろうし、長期休みも取れることもなかなかないだろう」ということで、旅行期間に最低10日ほどは要す南米への旅を計画しました。行きたくてたまらなかったマチュピチュ、ナスカの地上絵、ウユニ塩湖。やっと夢が叶う!とツアーを申し込みました。
まさかの妊娠判明
そのころ私は生理不順が続いており、妊娠を考えた際に子どもができない状態であることは本意でなかったので、生理不順を治すためレディースクリニックに通っていました。
「薬を飲んでいるものの、今月も生理がこなかったんです」と先生に毎日の基礎体温の記録を見せながら話していたところ、先生が、基礎体温の記録を見てつぶやきました。「あれ?これ、もしかして妊娠している?」その場で尿検査をし、妊娠していることが判明しました。
妊娠判明でも行く気は満々
行きたくてたまらなかった南米ツアー。すでにキャンセル料が発生する時期です。先生に「実は南米行きを計画しておりまして……」というと、あっさり、「勧めないねー」と言われました。
まだ妊娠3カ月に入ったばかりで、自分の感覚としては妊娠前と変わりません。「きっと先生は、万が一のときのために大げさにいっているのだ」と軽く考え、親に妊娠したことと旅行は行くつもりであることを伝えると、「そんなことばも通じない国で流産でもしたらどうするの!」と猛反対にあいました。
気持ちを変えた助産師の友人の助言
それでも旅行をやめる決意ができない私は、助産師の友人に相談しました。彼女は、すでに出産を経験し子どもがいる、秘境も含めた海外旅行が好きな友人です。南米に行きたいというわたしの気持ちを汲み取りながら、自身の経験と専門家の立場から助言をしてくれると考えたのです。
結果は、「わたしでも行かないな……」とのこと。理由としては、高山病にかかるかもしれない土地であり体調を崩しやすい、今はないかもしれないが、つわりが始まったら旅行を楽しむどころではない、もちろん流産の危険がある、万が一流産した場合、子宮内部がきれいになっているか確認してもらわなければならないが、ことばも通じない南米でそれは厳しいのではないか……、せめてハワイならいいと思うという回答でした。この回答を聞いて、わたしはキャンセル料を払うことを決めました。
今でも、マチュピチュやウユニ塩湖をテレビで見たりすると、行きたかったな……と思います。でも元気に生まれてきてくれた娘を見ると、行かなくてよかったとも思います。娘が大きくなったころ、もう一度、挑戦したいなと思っています。(TEXT:ヒロコ ラメッシェ)