悪口を言ってくる職場の先輩
「うわ、みんな見てぇ。あの子、また昼休みにひとりで読書をしているわ~。こっちにまで地味なオーラがうつりそう!」
何かにつけて私の悪口を言う先輩社員は、見た目も行動も派手な女性。ほかの社員たちがいくら注意しても、なぜか私のことを目の敵にし、ひどいことを言い続けてくるのです。言い返してもムダと反論せずにいると、日に日にエスカレート。
「あんな暗い子、どうしてわが社が採用したのかしら~」
さすがに周囲もドン引きし始め、私さえ無視していれば、そのうち彼女からはどんどん人が離れていって後悔することになるだろうと思い、ずっと我慢をしていました。
イケメン社員が入社し…
そんなある日、私にとって初の後輩となる新入社員が入ってきました。それも、誰が見ても超がつくイケメン! 多くの女性社員は、彼の入社初日からキャーキャーと騒ぐほどでした。
この新人くんは口数が少なく、黙々と仕事をするタイプ。整った外見かつ有能なため、無口ながらもすぐに職場の人気者になりました。私を目の敵にするイジワル先輩は彼を恋人にしようと狙っているようで、しょっちゅうお昼に誘うように。私は相変わらず食堂の隅で本を読んでいましたが、彼女が構ってこなくなってほっとしていました。
しかし数週間後……。イジワル先輩が、新人くん相手にまたも私の悪口を言っているのが聞こえてきたのです。「見て、あの子暗いでしょ。あの人のせいで職場の空気も悪くなるわ!」と。
すると新人くんは、「俺、あっちで食べます」と言って席を立ち、なんと私の隣の席に座ったのです!
「ここ、いいっすか?」
「あ……。は、はい……」
彼はそれ以降何も言わず、私の隣で黙々とランチを食べ始めました。「もしかして、気づかい?」と感動した私。そういえば小学生のころ、図書館でいつもひとりだった私の隣に来て、黙って本を読んでいた男の子がいたっけ……。
「何あれ? 思いあがってんじゃねぇよ、地味女のくせに!」と、遠くでイジワル先輩が怒っているのが聞こえました。
残業を押し付けられ我慢できなかった私
その翌日は、夜に新入社員歓迎会が開催される予定でした。飲み会は苦手ですが、さすがに欠席はできません。みんなに合わせて私も残業にならないよう、仕事に集中していると……。
イジワル先輩が私に近寄ってきて、「地味子はどうせ歓迎会には来ないでしょ? 残業よろしくぅ~」とニヤニヤしながら、私のデスクにバサッと資料を置いたのです。
「あんたが来たって、陰気で迷惑なんだから、ひとりで残業しろ! そのほうがみんなのためよ!」
さすがにこれは、我慢の限界……。しかし、はっきり反論すべく顔を上げた私の前に、影が立ちはだかったのです。
「ご自分の仕事はご自身で対応されたらいかがですか? 理不尽で大人げない行動をずっと続けるおつもりですか?」
私は、どうして新人くんが目の前に立っているのかと驚きながら、彼の背中を見ていました。さっきまでほくそ笑んでいた先輩もあっけに取られています。
「それから歓迎会は、こちらの先輩が残業で欠席なら、恐縮ですが僕も不参加にさせていただきます」
実は彼は…
「は、はぁ!? 今日はあなたの歓迎会でしょ? 地味子なんて放っておけばいいじゃない!」と叫んだイジワル先輩に向かって、新人くんは堂々と言い放ちました。
「できませんよ。僕、彼女が初恋の人なんです」
「「えぇぇぇええぇええぇええ!?」」
私は思わず、大声で叫ぶイジワル先輩にユニゾンをしてしまいました。初対面じゃなかったの!?
「両親の離婚で名字が変わりまして。それに当時は分厚い眼鏡をかけていたので……。覚えていませんか? 小学生のころ、読書クラブにいた眼鏡の男の子を……」
「も、もしかしてあのときの……?」
そう、まさに先日回想したあの男の子。下の名前は新人くんと同じです! あのころ、交わした言葉は少なかったけれど、しずかに隣に来てくれる存在に救われていた私。しかし彼は遠くに転校し、それっきりだったのですが、こんなところで再会するなんて!
イジワル先輩は、みんなの前で狙っていた新人くんに振られるような形になったことが耐えられなかったのか、それからしばらくして、自主退社していきました。一方の私はというと……。彼とデートを重ね、晴れて恋人同士になりました。
「実は僕、偶然この会社できみが働いているって聞いて。それで入社試験を受けたんだ。こんなことを言ったら引かれるかもって思って黙っていたけど……」
ずっと心のどこかで私のことを気にしていてくれた彼。その気持ちが素直にうれしく、私は今とても幸せです!
ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように!