カメラが趣味の友人夫婦
これは私の友人が38歳のときの話です。友人は長く付き合った恋人と結婚後、退職してから生まれた3歳の1人娘の子育てに専念していました。学生時代は2人とも家電量販店でアルバイトをしていたため、家電について話し出すと止まりません。中でもカメラになると2人とも熱くなってしまうほど、夫婦の共通の趣味となっています。休みの日には海の写真を撮りに行ったり、公園で遊ぶ子どもを撮影したり。ビンテージカメラを探しに、遠方の古道具屋へ行くこともあったそうです。
「趣味が合うから助かる」、「レンズって高級なものもあるから、夫婦で意見が食い違うと結構我慢しないといけなくなるのよ」と、友人は話していました。友人の夫は、特にカメラのレンズにこだわりがあり、少しのスペックの差で写りが大きく違うと熱弁している姿を私も見たことがあります。
それほどカメラにハマってしまうと、問題になるのがお金です。しかし、カメラにかかる費用は夫婦共同で貯めた口座から使い、別に1人娘のために計画的に貯金していると聞いていたので、すごく堅実な家庭だなと感じたのを覚えています。
ただし、やはりお金でもめてしまうこともあったそう。どのレンズを買うのか、どのカメラを買うのか、時々夫婦でヒートアップしてしまうこともあったと言います。
友人が見つけた未入金のお知らせハガキ
あるとき、友人が見慣れない会社から送られてきたハガキを目にします。中身が圧着されているタイプで、表には「未入金のお知らせ」と書いてあります。夫宛ての郵便でしたが、友人は何となく嫌な予感がして、つい開いてしまったそうです。
恐る恐る圧着部分を開けると、そこには残高不足で支払いの引き落としができなかった旨が書いてあり、借入金額の合計はなんと約500万円。「え!?」友人は思わず声を出して驚き、ハガキを落としてしまったと話していました。未入金のお知らせ、という文字が目に入ったときから「もしかしたら借金かもしれない」とは考えていましたが、その金額は想像よりはるかに多く、びっくりしたそうです。
しかし、気になるのは500万円もの大金を何に使ったか、です。夫とは仲もよく、休みの日はほぼ一緒に過ごしており、子育てもよく手伝ってくれます。「もしかして浮気?」と嫌な考えが頭をよぎったものの、浮気ならここまでの大金になるのだろうかと疑問が。「ギャンブル? それとも人に貸したとか?」不安ばかりが募っていきますが、ひとまず夫に聞いてみなければ……と考えた友人。話し合うなら早いほうがいいだろうと、その日の晩、子どもを寝かしつけてからハガキを夫に見せることにしました。
夫がこっそり作った借金の理由とは?
「ねぇ、これが届いてたんだけど……」と、友人はソファでくつろいでいる夫に見せると、彼は「見ちゃったの?」とけげんな顔。そして友人が「借入金額は500万円って書いてあるけど何に使ったの?」と聞くと、夫は黙り込んでしまったそう。「きちんと説明してもらわないとわからない、浮気でもしてるの?」と友人が聞くと、夫は慌てた様子で「浮気はしてない!」とひと言。そして観念したように、借金の理由を話し始めました。
初めはどうしても欲しい高価なカメラのレンズをリボ払いで買って、支払いを忘れたりできなかったりしたときに別の会社でお金を借りて返していたそうです。そのうち感覚がまひして、欲しいレンズをどんどん買ってしまい、気付けば借金が500万円に膨らんでいた……と。
友人はそれを聞いて、あきれるやら悲しいやら。そしてふと、最近増えたカメラやレンズのコレクションに目をやりました。「カメラ仲間にもらったというレンズやカメラはあなたが購入した、ということ?」と聞くと「そう……。我慢できなくて、月々数万円の支払いならなんとかなるかなと思ってしまった」と白状したそうです。
そして借金をどうするか、そして離婚も視野に入れて今後の夫婦関係をどうするか、が話し合われました。夫は深く反省しており、友人に土下座。子どもも大切だし、離婚されるくらいならもうカメラはいらない、とうなだれていたそう。その姿を見て、友人は夫を許すことにしました。いつか買いたいとコツコツ貯めていたマイホーム用の頭金を使い、借金の大部分を返済することに。また、身分不相応の高級カメラやレンズは専門店で買い取ってもらい、借金返済の一部に充てたそうです。
まとめ
友人が知らない間にカメラやレンズを購入し、借金が500万円に膨らんでいた友人の夫。今回は娘のことを考え、夫婦共同で借金を返す道を進むことにしました。友人の夫は改心し、休日にアルバイトをして借金返済分を補填するように頑張っているそうです。
友人は借金返済のために、マイホーム用に貯めていたお金を失いました。夫に対する怒りはもちろんあると思いますが、信じてやり直すと決めた以上、今は未来しか見ていない様子。「私と同じような失敗はしないでね」と語ってくれました。500万円という借金を目にして彼女のように前を向けるかどうかはわかりませんが、お金は夫婦間で話し合い、適切に使うことが大切だと改めて感じた出来事でした。
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イラスト/マメ美
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著者:田川 ゆうこ
体形の悩みは出産がきっかけなのか自分がきっかけなのか……悩む三姉妹の母ライター。今年こそダイエットを卒業したいです。