職場に新しく入社してきたAさんに期待した結果
友人の働いている介護施設に入社した20代後半の新人Aさん。現場の責任者をしていた友人は、Aさんの指導にもあたっていました。20代前半のころから介護の仕事を経験してきたAさんは、ある程度の介護に関する知識や技術はあったため、少し説明しただけで仕事を進めてくれます。そんなAさんの姿に友人は、「これから戦力になってくれそうだな」と期待を抱いたそうです。
しかし、指導の際にそれぞれの利用者さんの注意事項や覚えなければならないことなどを伝えても、一切メモをとらないAさん。友人がそんなAさんを心配して「念のためメモを取ったほうがいいんじゃないかな?」と伝えても、「私、実践で覚えるタイプなので大丈夫です!」と聞く耳を持ちません。特に、利用者さんごとに異なる情報はなかなか覚えにくく、友人自身が若いころには必ずメモを取っていたので、「最近の若い子はメモを取るのではなく、きっと後でスマホやタブレット内にまとめているのだろう」と友人は思っていたそうです。
AさんのミスやAさんへのクレームが目立つように
その数日後、Aさんはミスを犯してしまいます。甘いものを控えなければならない利用者さんに、甘いものを提供してしまったのです。もちろん、友人はAさんにその情報は引き継ぎしていました。たまたま通りかかった看護師が、利用者さんがAさんから提供された甘いものを食べようとする場面を発見したため事なきを得ましたが、その一件を聞いた上司からこっぴどく怒られたAさん。友人はその後、Aさんがうつむいたまま黙々と仕事をする姿を見て、さすがに反省しているだろうと思っていました。
ところが、それ以降何人もの利用者さんが友人のもとを訪ねてきてはAさんに対するクレームを伝えてくるようになったのです。友人の施設では、それぞれの利用者さんに対する支援方法が決まっており、利用者さんが戸惑わないようすべての職員がその方法で支援をおこなっていました。しかし、Aさんだけほかの職員とまったく違うことをするため耐えきれない、というクレームが多く寄せられたそうです。
Aさんのメモを確認すると…
友人は、Aさんのクレームやミスは指導にあたった自分のせいでもあると責任を感じ、Aさんと話をすることにしました。
友人が「先日から何人もの利用者さんからあなたの対応についてのクレームが来ているの。利用者さんごとの情報はすべて伝えたと思うんだけど、どうやって業務を進めてる?」とAさんに尋ねると、指導されたときにとったメモを見ながら進めていると言うのです。
友人は、メモは取ってなかったと思うけどスマホに記録していたのかな?と思い、「じゃあ、そのメモを見せてもらってもいいかな?」とAさんに伝えると、Aさんは戸惑いの表情を見せながら友人にメモを渡しました。そのメモを確認すると、施設内での1日の業務の流れなど利用者さんとはあまり関係ない内容のみで、利用者さんの情報は一切書かれていなかったそうです。友人は、Aさんがいつもスマホを持ち歩いている姿を見ていたので、「もしかしてスマホに情報をまとめてある?」と聞くと、スマホなどには記録していない、とのこと。
友人がこのままではAさんは同じミスを繰り返してしまうと思い、今後は利用者さんに関する細かな情報もメモを取り確認しながら業務をするように指示しました。上司から怒られた上に利用者さんからクレームがあったことを告げられひどく落ち込むAさんでしたが、友人の指示に素直に応じ、以降はメモを欠かさず取るようになったそうです。
まとめ
メモを取って仕事をするのは昭和のやり方なんだ、きっとスマホにメモを残しているんだろう……と友人は勝手に思い込み、Aさんのやり方を尊重してしまった結果、Aさんは多くの人に影響を与えるミスを犯してしまいました。
友人は勝手に都合のいい解釈をしてしまったことを反省し、上司として部下にやってもらうべきことはこまめに確認しながら、しっかり業務を進めなければならない、と再認識したそう。
今回の出来事を肝に銘じて、Aさんには再度利用者さんの情報を伝えるとともに、メモを取っているか、その内容に不備がないか、しっかり確認しながら引き継ぎをおこなったそうです。
※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
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著者:akaringo
元気いっぱいの兄妹に翻弄(ほんろう)されつつも子育てを楽しむママライターです。何事も全力で! をモットーに日々過ごしています。