育児のスタイルは人それぞれ
本当は家の近くの保育園に入れたかったものの、抽選に外れてしまい仕方なく自転車で片道30分かかる園に通わせることに。雨の日も風の日も自転車で登園し、通勤は満員電車。会社に着くころにはすでにひと仕事終えたような疲労感でした。
仕事を終えると、私はいつも保育園へダッシュでお迎えに向かいます。家に帰り着くのは、だいたい19時ころ。そこから夕飯、お風呂、寝かしつけと、娘と過ごす時間は毎日バタバタで、正直、気持ちの余裕なんてありませんでした。それでも、「娘のためにも働かなきゃ」と自分に言い聞かせていたのです。
そんなある日の昼休み、何気なく同僚たちと話していたときのことでした。高校2年生の娘さんを持つ同僚が、「私は娘が小学生のうちは家にいたよ。やっぱり子どもが小さいうちは母親がそばにいないとね」と口にしたのです。その言葉に、私の胸はざわつきました。彼女に悪気はなかったのかもしれませんが、そのひと言で、私は「ダメな母親」だと烙印を押されたような気持ちになったのです。
毎日必死に家事育児と仕事を回しているのに、そんなふうに言われると本当に心が折れそうになります。誰に評価されなくても、自分なりに頑張っているつもりなのに……。
泣きそうになりながら沈黙していると、隣にいた30代の男性の同僚がふと口を開きました。「それ、家庭によって正解は違うと思いますよ。うちの妻もフルタイムで働いてますけど、うちの子、めちゃくちゃ楽しそうですよ? 保育園でいろいろな経験をして、社会性もあるし。むしろ妻が自分らしく働いている姿を見て、子どもも誇らしそうですよ」。
その言葉に、私は驚きました。すると男性同僚が続けます。「もちろん、母親が家にいることが大切な時期もあるし、それを望む子どももいます。でも、それと同じように、社会で活躍している姿を見せることも、子どもにとっては大事なんだと思いますよ」。
その言葉は、張りつめていた私の心にスーッと染み込んできました。たしかに私は、娘と過ごす時間は長くないかもしれないけれど、限られた時間の中で目いっぱい愛情を注いでいるし、働くことだって娘のため。私の毎日の頑張りを、きっと娘は見てくれている、そう信じられるようになったのでした。
それ以来、誰かに子育てについて比較されても、必要以上に気にしなくなりました。全力で走っているこの毎日が、私らしいママのかたちだと思って頑張っています。
誰かの「こうあるべき」という声に振り回されず自分の子育てに自信を持つこと、人によってかたちは違っていても毎日一生懸命に頑張る日々こそが、子どもへの何よりの愛情なのだと思えた出来事でした。
著者:松原櫻子/30代・ライター。2歳の娘を育てる母。イヤイヤの地雷を踏まないように、日々忍者のごとくそろりそろりと歩いている。
作画:yoichigo
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年5月)
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