こんにちは!助産師のREIKOです。TBS系金曜ドラマ『コウノドリ』第6話の最後に、吉田 羊さん演じる小松留美子助産師がおなかの痛みを訴え、動けなくなってしまったところで終わりました。その後、小松さんはどうなってしまったのでしょうか? さっそく第7話を振り返っていきましょう。
小松さんの腹痛の原因は?
以前、子宮筋腫を指摘されていながらも、その後検査を受けずにいた小松さん。綾野 剛さん演じるサクラにお姫さま抱っこされ、なかば強引に検査を受けさせられた小松さんの検査結果は、「子宮腺筋症」と「卵巣チョコレート嚢胞」でした。
子宮腺筋症は子宮内膜様の組織が子宮筋層に生じ、月経のたびに強くなる月経痛、過多月経などの症状を伴います。卵巣チョコレート嚢胞は子宮内膜様の組織が卵巣内に生じ、不妊の原因にもなっている病気です。そして、40歳以上だったり嚢胞の大きさが10cm以上だったりする場合、卵巣がんになりやすいといわれています。また、卵巣チョコレート嚢胞自体もがん化する恐れがあるといわれています。
「医者の不養生」ということわざもあるように、医師に限らず、わかっていながらなかなか受診しない医療スタッフも少なくありません。小松さんの言うように、忙しくて受診するタイミングを逃してしまったり……ということもあるでしょう。そのほかにも病院で働いていると、何かあったときにすぐに受診できるというメリットがある反面、顔見知りの医師が診察することに抵抗がある場合もあります。
サクラがすすめた治療法は?
子宮腺筋症や卵巣チョコレート嚢胞の治療は、妊娠を希望しているかどうかによっても方針が異なります。小松さんの検査結果は予想以上に悪く、星野 源さん演じる四宮先生は子宮全摘出をすすめたほうが患者のためだとサクラに言いました。
サクラは小松さんに検査結果とともに、手術も選択肢のひとつであるということを伝えました。その場では「私から子宮がなくなっても世界が平和ならそれでいいか!」と明るくふるまっていた小松さん。ですが、知識や経験がある分、自分の状況や治療の必要性はよくわかっていたと思います。
ですが、小松さんはすぐに答えを出すことはできません。そんななか久しぶりに会った同期の友人たちはみな結婚し、ママになるという人もいました。その帰り道、2人の子育てをしながらペルソナ総合医療センターでメディカルソーシャルワーカーとして働いている、江口のり子さん演じる向井祥子に会い、「お母さんになる人生とならない人生、なにが違うのかな」という言葉をなげかけます。
お母さんになる人生とならない人生、なにが違う?
小松さんにもいつかは子どもを産み、育てたいという思いがあったのではないかと思います。また、小松さんにはご両親やごきょうだいがいない様子。子宮を全摘出してしまったら、子どもを産むことは叶わなくなってしまうとなると、やはり複雑な気持ちになってしまうのではないでしょうか。
お母さんになる人生とならない人生、2つの人生を体験することはできません。どちらが幸せかどうかということも、人それぞれのような気がします。子どもがいるかどうかというのもひとつの要素でしかなく、それだけでその人の価値が決まるというものでもないですし、片方の人生しか経験していない人がもう一方の選択をした人に対して、あれこれ言うのもどうなのかなとも思います。
また、子宮は女性特有の臓器です。「子宮を摘出する=女性でなくなる」というようにボディイメージの変化によって精神的なダメージを受ける女性も少なくないという研究データもあります。その人の年齢、状況などによってもまた気持ちに違いがあるのではないでしょうか。
小松さんの決断は?
ある日サクラは小松さんを誘い、前にBABYとして演奏していたというバーに向かいます。そこで、サクラは小松さんだけのためにピアノを奏でます。そこで、小松さんは「私、決めたよ!悔しいけど仕方ない!これが私の人生だ!」といい、手術することを決断します。
最初は明るく話していた小松さんですが、サクラのピアノを聞きながら最後は涙してしまいます。子宮を失うことへのさみしさ、子どもを産めない悔しさ、自分を支えてくれるペルソナ総合医療センターのスタッフたちへの思い……。さまざまな思いが錯綜し、あふれ出た涙だったのではと思いました。
ペルソナ総合医療センターのスタッフの支えもあり、小松さんの手術は無事に成功し、職場復帰を果たしました。今回のできごとで、小松さんも頼れる仲間がいることをあらためて実感しました。でも小松さんのこれまでのかかわりが仲間をつくり、みんなから支えられる存在になったのではないかと思います。手術後、すぐに職場復帰した小松さんに対して、もうすこしゆっくり休んでもいいのに……と思いつつ、小松さんはやっぱりあの場所が、助産師という仕事が大好きなんだなと思いました。
次回、第8話では、白川先生になにかが起こるようです。救命に異動した下屋先生、子育ても仕事もがんばりたい倉崎先生、そして四宮先生の今後も気になります。次回の振り返りもお楽しみに!
著者:助産師 REIKO
医療短期大学専攻科卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。