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「乳がん」で左乳房の全摘出手術が決定。不安と寂しさを感じていた12泊13日の入院生活は【体験談】

私は2021年の秋、かかりつけの乳腺クリニックで乳がん定期検診を受け、左乳房に腫瘍(しゅよう)が見つかり、がんの疑いでがん治療拠点病院に転院しました。「どうか、がんじゃありませんように」と、祈るような気持ちで検査を重ねましたが、11月初めに乳がんの告知。その乳房を全摘出手術することに。私の入院手術の体験談を紹介します。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師黒田 あいみ 先生

美容・アンチエイジング専門医。トライアスリート。Zetith Beauty Clinic医師(東京都中央区銀座4丁⽬2-17 銀座111レジャービル13階)。1979年東京生まれ。2003年獨協医科大学医学部卒業後、東京女子医科大学内分泌乳腺外科に入局。2007年品川美容外科へ入職、2011年品川スキンクリニック新宿院の院長に就任。2013年同クリニック、表参道院院長に就任。その後、予防医学と分子栄養学を改めて学び、美容外科、美容皮膚科、アンチエイジング内科の非常勤医師として複数のクリニックの勤務を経て、現在に至る。著書に『アスリート医師が教える最強のアンチエイジング』(文藝春秋)。
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医師の助言と夫の意見で手術は年末に

世間のクリスマスムードが高まる11月末。乳腺科の先生から「手術の日、12月27日はどう? 」とお話がありました。さらに「入院期間は、手術日前後を合わせて10日から2週間は空けておいてください」とのことでした。

 

私は家族と楽しく過ごすはずの冬休みを思い、すぐの返事をためらいました。年末年始をゆっくり過ごし、英気を養ってから手術を迎えたい気持ちもあり、手術日は仮押さえにしてもらいました。ただでさえ初めての全身麻酔や長時間の手術、同室になるのはどんな人たちだろうかと不安が多い入院生活。その上イベントが多く楽しい年末年始と重なるなんて……と、心の中に冷たい北風が吹いていました。

 

2020年に本格的に始まったコロナ禍。「延期が可能と判断される予定手術及び予定入院の延期要請」があり、病院では2021年もその影響が続いていました。手術を待っていた方、受診を控えていた方の通院再開で、先生のスケジュールは年末まで埋まっているようでした。

 

「たとえ初期のがんでも、見つかったのなら早く摘出したほうが良いと思います」と言う先生の助言と、夫の「早く手術を済ましたほうが安心。それに仕事が長期休みと重なるほうが、子どものフォローをしやすい」との意見。これらを踏まえ、「何より体を守ることが一番の優先だ」と考え直し、先生の提案通り「12月25日クリスマスに入院、年内オペ最終日の27日に手術」することが決定しました。

 

いざ入院。病院食は味も色も薄くて…

病院食のイメージ

 

病院では入院の前日に新型コロナウイルスのPCR検査を実施。24日の午前中、通院でPCR検査を済ませ、帰りにクリスマスケーキとチキンを買い、夜は家族でクリスマスパーティー。息子から「おこづかいだよ」と、紙で作ったお財布とお金、手編みのマフラーをもらい、うれしく思いつつ少し切なくもなりました。

 

入院病棟に入れるのは、基本的に新型コロナウイルスワクチン接種済みが条件。ワクチン未接種の当時6歳の息子は、家族といえども同席、面会ができず、お留守番です。25日の朝、サンタさんからのクリスマスプレゼントを見届け、年明けのお年玉、年賀状の準備を済ませて入院へと向かいました。

 

看護師さんに病室へ案内され、パジャマに着替えるとお昼ごはんの時間。名前を呼ばれ、カーテンが開いて配膳された食事を見てビックリ。想像していたよりずっと「薄味で全体的に白っぽい! 」。

 

あとで張り出されている献立表を確認してみると、1食600キロカロリー前後。「なるほど、仕事も家事もせずベッドとトイレの往復だと、この量になるのか……」と納得。早速持参したふりかけで味付けと色味を足し、いつもよりよくかむことを意識して、ゆっくりといただきました。食後に「動けるうちに、おやつとご飯のお供をもう少し確保しよう」と、いそいそと病院内にあるコンビニへと向かいました。

 

 

しみ入る!手術後のコーヒーのおいしさ

カップに入ったコーヒーの画像

 

私の部屋は4人部屋、そして全員が乳がん患者でした。手術前にお顔を合わせたとき「きっと大丈夫ですよ! 」と、笑顔で勇気づけてくださり、自分以外にも同じ立場の方がいるのは本当に心強いものでした。

 

手術の翌日。離床を促されているものの、体にはまだまだ痛みがあり、点滴がつながり、思うように動けないとき、同じ病室の方が「コーヒーを飲む? 買ってきてあげるよ!」と声をかけてくれました。さらに「手術後、私も買ってきてもらったの。感覚が戻ってくるよ〜」とおすすめしてもらい、それならと「砂糖は2つの甘めで」とリクエストしました。

 

普段から愛飲しているコンビニのドリップコーヒー。術後の処置で疲れた体にしみ入る、温かいコーヒー。カップから立ちのぼる香り、飲み慣れた濃さと砂糖の甘さに、パチッと目が覚めたような感覚に包まれました。買ってきていただいたやさしさと相まって「すごくおいしい! 」と感じ、感謝を伝えました。

 

そして改めて「おかえり」と言ってもらい、お互いの手術の無事をねぎらい合いました。コーヒータイムを介して皆さんとすっかり仲良くなり、その後も時間が合うと、おしゃべりを楽しく続けていました。

 

入院病棟でご来光を待つ

日の出の画像

 

病室での大みそか。窓から見える寒そうな外の風景には、雪が降っていました。病室はぬくぬくと温室のようで、看護師さんは半袖で業務。私も薄手のパジャマ1枚でも平気なほどでした。

 

子どものころから欠かさず食べていた「年越しそば」。コンビニでカップそばを買って食べようかと思っていたところ、夕食メニューに「年越しそば」の文字。翌日からのお正月も、おせち料理やステーキなどイベントメニューが続き、カロリーもややアップ。テンションが上がります。

 

お正月を自宅で過ごすために一時退院していく患者さん、外来が閉まり、新規の入院患者さんもなく、だんだんと静かになっていく病院。いつもは慌ただしく過ごしていたはずの年末の雰囲気を、不思議な気持ちで過ごしていました。

 

夕方からは「年末らしく紅白歌合戦を見よう! 」と病室の皆さんとテレビ鑑賞。消灯時間が22時なので全部は見ずに「明日の元旦は、みんなで初日の出を見ようか」と話し、眠りにつきました。

 

日の出時刻を確認すると7時過ぎ。病棟の東に最も近い窓にスタンバイしたものの雲が多く、空はなかなか明るくなりませんでした。7時30分ごろ、病院の外壁の向こうから初日の出がしっかりと顔を出し「すごくパワーがある! 」「今までで1番ありがたいご来光だわ」と、新年を喜び合いました。

 

不安と寂しさでどうなるかと思っていた年末年始の入院。当直の看護師さんが「お正月の人が少なくてのんびりした感じが好きなんですよ〜」とおっしゃるように、入院病棟はとても静かで穏やかな気持ちでゆっくりと治療に専念できました。そして私のような入院患者がいるということは、先生、看護師さん、調理師さん、クリーニングスタッフさん、たくさんの方が働いていて、思っていたような寂しいものではありませんでした。

 

まとめ

12泊13日の入院生活。夫と息子には少し寂しい思いをさせてしまいましたが、おかげで元気になって退院することができました。帰り道に早速夫と退院祝いの焼き肉ランチに立ち寄り、おなかも満足して帰路につきました。

 

しばらくは手術痕に痛みや違和感がありましたが「日にち薬」(月日の経過が薬代わりになること)で少しずつ回復。当たり前のように日常生活を送れることに感謝しながら、がん完治を目指し、日々を過ごしています。

 

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

 

 

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著者:ショコカ

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