30年前の小学校は生理に無理解だった
30年前、私が通っていた東京の小学校はまだ性に関する教育も行き届いておらず、生理に対する知識も限定的で、性教育の授業を受けるのは女子に限られていました。
私の生理が始まったのは小学校5年生のころ。学校で生理用品を入れたポーチを持っているのがバレると大変でした。男子がポーチを取り上げ、中身を開けてバカにされることも。女子は真面目に「やめて!」と言いますが、もはや恒例行事のようになっていて、先生たちもまたかという反応でした。
生理に対する無理解から、男性の先生たちは女子の恥ずかしさや悔しさを理解しておらず、男子たちを真剣に叱ってくれる先生はほとんどいなかったと記憶しています。
生理のときのプールは地獄で…
普段の生理でさえ大変だったのですが、生理のときのプールはまさに地獄でした。先生たちは「生理でプールを休むのは甘え」という考えのため、生理だからといって授業を休むことは許されず、休んだ児童は校庭を走ることが義務付けられていたのです。
女子生徒たちは暑い中、「校庭を10周走れ」と強要され、生理でただでさえつらいのに、本当に大変でした。中には走っている途中で具合が悪くなったり、かがみ込んだり、吐いてしまう子も。「生理でつらいから休みたい」と伝えても、先生によってはまったく体調を配慮してくれず、おしりを叩いてまで走らされることもありました。
そのときの屈辱的な気持ちはまだ私の心に残っていて、女性に生まれたからという理由で受けた悲しみを今でも忘れることができません。
進化した小学校の性教育
それから月日は流れ、30年が経ちました。当時の私と同じエリアの公立学区に通う娘たちは、生理のときにもう運動を強要されることはありません。性教育は女子だけでなく男子も受けるようになったため、生理をばかにするような男子もごく少数のよう。
激変した小学校教育に感動するとともに、私たちの声が現場に反映され、30年の時を経て、傷つく女子が少なくなったことをうれしく感じました。
30年前、生理があるからという理由で悔しい思いをしていた私たち。そのときの女子たちの声が、今の教育現場で反映されていることを知って、小学生のころの私に「頑張ったね」と声をかけてあげたいです。そして、二度と悲しい思いをする女子がいなくなるように、私たち大人が真剣に子どもの声に向き合っていかなければと感じた出来事でした。
著者/大野 肉美
イラスト/おみき
監修/助産師 松田玲子
医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダー、ムーンカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
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