電車内で聞こえてきた声
その日私は、ベビーカーのサンシェードをおろし、長男をすっぽりと覆った状態で電車に乗りました。車内は満員ではないものの、ベビーカーはやはり幅をとります。
乗って少しすると、「外国製のベビーカー大きいわよね、うちの孫のベビーカーも……」「下の子、もう大きいけど、荷物乗せているから……」など、小声ですが、50代から60代くらいと思われる2人の女性の会話が聞こえてきました。
無人だと思われていたベビーカー
聞いていると「下の子(わが家の次女)が大きいんだから、ベビーカーをたたんだらいいのに」という趣旨の会話だとわかりました。サンシェードに覆われて、中に赤ちゃんがいるのがわからなかったようです。
そして、しばらくして長女がベビーカーの中の長男に話しかけたことで、中に赤ちゃんが乗っているのだと周りにもやっと伝わり、女性のひとりが驚いた表情でこちらを見たのがわかりました。
3人目は想定外…?
実は別の日、同じくサンシェードをおろしたベビーカーに長男を乗せ、上の子2人と飲食店を利用したときに、店員さんに「すみません、ベビーカーをたたんでいただけませんか」と声をかけられたことがありました。無人のベビーカーと勘違いされてしまい、料理をサーブしやすいようにたたんでほしいということだったようです。
電車のその女性も、もう1人子どもがいることがわかると「あぁ(乗っているのね)」と理解した様子で、それ以上特に何も言われることはありませんでしたが、その表情は驚いているように見えました。
大人1人で子ども3人を連れている親に対する視線は、「ほほ笑ましい」よりも「大変そう」といった印象で、好奇の目で見られることのほうが多いと私は感じます。子どもが通う幼稚園や小学校ですら、周囲に3人目の妊娠報告をした際に「すごい」「うちは無理」と返されたこともありました。3人目の壁は、世間から向けられる眼差しにもあるのかもしれないと実感した出来事でした。
著者:河原りさ/2016年生まれと2018年生まれの女の子2人、2024年生まれの男の子のママ。花屋に勤務。都会のおでかけスポットや植物に関心あり。
イラスト:ミロチ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2024年6月)