生理の知識が乏しかった幼少期
最近では性教育の重要さが取り上げられ、テレビや新聞、SNSなど、さまざまな媒体で特集が組まれています。
しかし、私が小学生だった30年ほど前は、まだ性教育が遅れていて、学校の授業でなんとなく学ぶ程度。そのため、生理はタブー視されがちな話題で、親や友だちから得る情報がとても重要でした。
母が生理のときに温泉に行くと…
そんなある日のことです。小学4年生のとき、家族で温泉旅行に行きました。
私は大浴場に浸かるのを楽しみにしていましたが、母は生理中だったため温泉に入れないと思い、「お母さんは部屋のお風呂に入るの?」と尋ねました。すると母は、「大浴場に行くよ! 温泉に入ると一時的に生理は止まるの」と言ったのです。
それを聞いて私はとても驚いたのと同時に、生理中に温泉に入っても大丈夫なんだ!と喜んだのを覚えています。
もちろん温泉に入ったからといって生理が止まるわけはなく、母はタンポンを使用していたのですが、まだ小学生の私にタンポンの話をするのはためらわれたようで、母は私に「温泉に入ると生理が止まる」と嘘をついたのでした。
勘違いしたまま月日が経ち…
その後、私は小学校5年生になって生理が始まったのですが、浴槽に浸かっても経血が流れるため、なぜ止まらないのかな?と疑問に思っていました。それでも母の話を信じ続け、温泉なら経血が止まるのだろうと解釈しました。
そして月日が流れ中学2年生のとき、学校の修学旅行でクラスメイトと温泉に入ることに。そのとき私は生理中だったのですが、「温泉だから大丈夫!」と湯船に入ろうとすると、友だちが遠慮がちに「生理中は湯船に入るのはダメだよ」と教えてくれたのです。
「え? 温泉なら生理中でも入浴していいんじゃないの?」と言うと、「そんなわけないじゃん!」とビックリされてしまいました。
そこで初めて、母に嘘をつかれていたことがわかったのです。
よく考えればわかることなのですが、生理に対する知識が乏しく、母親以外から生理中の入浴マナーについて学ぶ機会もありません。母の言葉を信じて疑わなかった私は、結果的に恥をかいてしまいました。
いくらタブー視されていた話題とはいえ、しっかり生理について教えてくれなかった母に対して、しばらくわだかまりのようなものがありました。性教育に対する親の役割はとても重要だと私は思っています。現在、2児の母である私は、子どもへの性教育は隠さずしっかり教えるよう心がけています。
著者/大野 肉美
イラスト/ののぱ
※入浴の際、水圧で経血が出にくくなることはありますが、まったく出ないわけではありません。また、生理中の腟内はとてもデリケートで、免疫機能も低下しているため、ウイルスや雑菌が侵入しやすく病気を引き起こすリスクが高くなっています。経血で汚れる可能性もあるため、生理中の温泉やプールの利用はできるだけ避けましょう。
監修/助産師 松田玲子
医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダー、ムーンカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
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