社長自ら問題視!?
なんと、訴えをしてきたのは母である社長。この中途採用の新人は、営業成績トップである一方、お客様の名前を間違える・約束に遅刻する・注文の商品を間違えるなどの失態も目立つのだとか……。
昔なじみのお客様ばかりなので多めに見てもらえているようですが、問題はそれだけではありません。自分の売り上げを鼻にかけ、先輩である他の社員たちにも不遜な態度を取っている様子。注意をしても聞く耳持たずなのだそうです。
何とか穏便に問題を解決し、祖父母の代から続くこの百貨店を守るため、私は「社内環境の定期チェック」と称して外商部に潜入し、こっそり彼の仕事ぶりと言動を調査することにしました。
潜入調査開始!
私が潜入してすぐ、この新人は、報告通りのことをやってくれました。クライアントの名前間違いに始まり、アポには平気で遅刻。反省する様子もなくしれっとして「売上さえ維持すればいいでしょう」などと言ってのけます。
あまりの態度に私が総務部部長として苦言を呈すると……。「それ、パワハラですよ? 僕は最高の営業成績を収めているのに、細かいことで注意ばかり。それとも僕に辞めてほしいんですか?」と反論してきたのです。挙句に、「僕は辞めてもいいですけど、そっちが困るでしょ?」とふんぞり返る始末。「いつでも辞められるように、退職届も持ち歩いていますから~」と脅すような素振りまでしたのです。ここまで来ると手の付けようがありません。私はこう答えました。
「いえ、別に」
そしてニコニコして退職届を受け取ったのです。彼はポカーン状態。「え?」と目を白黒させているので、「辞めたいんでしょ? 社員自らの選択を無理やり妨害したら、それこそパワハラよね。そんなことはしませんから」と宣言しました。
実は…
「こんなの横暴だ! 不当解雇で訴えてやる!」とわめき出した彼を前に、私はため息をつくしかありません。
「実は、ここ数日でいろいろ調べたの、前職でのあなたのこと。人間性とマナーが大きく欠けていたため、ずっと内勤で大きな仕事は任されず。外商部にいたという履歴も詐称。おまけに、納品書に私物を入れて経費で落としたり、備品をちょろまかしたりもしていたとか? これは立派な犯罪よ!」
営業トップというのも、売上金額を上乗せしたり、人の手柄を横取りしたりしていたからだそう。ボロが出るのも時間の問題だったのかもしれません。
こうして彼は、「正当」な理由で解雇。前の勤め先から訴訟を起こされて大変だということですが、自業自得です。
私はと言えば総務部に戻り、新しく営業を採用するための準備に奔走中。これからもわが百貨店のお客様と従業員のために、最高のサービスと職場環境を提供すべく、腕を振るうつもりです。
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外商部への潜入調査で判明したトンデモ新人の悪行。彼は解雇になるのも当然ですね。総務部部長の主人公には、今後とも目を光らせ、お客様のためにも社員のためにも問題を解決してもらいたいです。
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