そもそも「高血圧」はどんな状態?
血液が血管の壁を押す圧力のこと。高血圧は血管障害の要因に
心臓は収縮と拡張を繰り返しながら、1日に約10万回も血液を押し出します。血圧とは心臓から押し出された血液が血管の壁を押す圧力のことをいいます。
血圧値は以下のように分類されます。血圧は収縮期血圧(最高血圧)が120未満、拡張期血圧(最低血圧)が80未満が正常とされています。正常高値血圧は、高血圧の一歩手前で注意が必要なレベルのことをいいます。高血圧にはⅠ度、Ⅱ度、Ⅲ度の3段階に分けられます。
■成人における血圧値の分類(mmHg)
※日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2019」より
※血圧は条件によって変化するため、病院・クリニックなどで測る血圧を診察室血圧、自宅で自分で測る血圧を家庭血圧と呼びます。
血圧の単位はmmHg(ミリメートル・エイチジー)。水銀式の血圧計の目盛りに基づいていて、目盛りが1mm上がると「1mmHg」となります。
水圧に換算すると、水銀の比重は水の13.6倍なので、最高血圧が120mmHgであれば噴水なら約1.63mの高さまで吹き上がる計算に。高血圧ラインである最高血圧140mmHgは噴水で約2.17mの高さになります。
高血圧とは、それほどの強い圧力が毎日血管にかかっている状態。血液の勢いで血管はダメージを受け、内壁が傷ついたり弾力が失われて硬くなったりして、動脈硬化などの血管障害につながります。
更年期高血圧の特徴は?
高血圧は体質、塩分の過剰摂取、運動不足、肥満、加齢、ストレスなどさまざまな要因が重なって起こります。「更年期」もそうした要因の1つ。厚生労働省の調査によると、高血圧症有病者の女性の割合は、30代=4%、40代=12.7%、50代=36.3%と年齢が上がるにつれて上昇しています(平成22年 国民健康・栄養調査結果の概要)。
更年期高血圧は女性ホルモンや自律神経のバランスと関わっているため、頭痛やめまいといった不調を伴うこともあります。ストレスで一時的に血圧が上昇するなど、不安定でメンタルに左右されやすいのも特徴の1つ。
そのため閉経後、更年期症状が落ち着いてくると、血圧が改善される人もいます。
更年期高血圧の原因
1:女性ホルモンの減少による自律神経の乱れ
閉経の前後10年が更年期です。日本人の閉経年齢の平均は50.5歳といわれています。この時期、女性ホルモンのバランスが乱れることに連動して自律神経のバランスも乱れやすくなります。自律神経には血圧をコントロールする役割があるため、血圧が上がりやすくなります。
2:気持ちが不安定になりストレスで血圧が上昇
自律神経には活動しているときに優位になる交感神経とリラックスしているときに優位になる副交感神経があります。
更年期で自律神経のバランスが乱れ、交感神経が過剰に高まると、イライラや不安といったストレスを抱えやすくなるように。ストレスを感じると血管は収縮するため、血圧の上昇を招きます。
3:内臓脂肪が増えて高血圧に
女性ホルモンのエストロゲンは脂質代謝にも関わるホルモンで、更年期に減少することでコレステロール値が上昇。これにより内臓脂肪が増えてしまうことがあります。内臓脂肪がおなかにたまると、血管が収縮したり血液をドロドロにする悪玉物質が分泌されたりして、血圧を上げる作用が多くなります。
更年期高血圧には早めの対策を
更年期を迎えて血圧が上昇するのは誰にでも起こることです。ただ、高血圧は自分自身で数値を改善することも可能。これまで低血圧だったからと油断せず、定期的に血圧を計測することが大切です。正常高値血圧になったら生活習慣を見直しましょう。
高血圧の2大原因は塩分の過剰摂取と内臓脂肪なので、健康的な食生活や定期的な運動を心がけることが有効に。ストレスも血圧に影響してくるので、休息を取る、好きなことを見つけて楽しむなど、自分なりの発散方法を探してみてください。
まとめ
仕事や家族、お金のこと。40~50代の更年期は何かとストレスを抱えやすい年代です。「患者さんを見ていると、更年期を過ぎると精神面でも安定される方が多い」と工藤先生。つい無理をしてしまいがちなので、血圧を意識しながら、体の声に耳を向けて健康を維持できるようにしたいですね。
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※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。
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取材・文/中澤夕美恵
出版社、編集プロダクションを経てフリーになって約20年。2021年よりスポーツジム通いに目覚め、せっせと運動に励むものの1年で1kgしか減量しておらず、ズッコケる。いつか痩せると信じて今日もジムへ……。