電話に出られなかったワケ
あるとき、かなりひどい風邪をひいて寝込んでしまった私。その日のお昼ごろから急に熱がどんどん高くなり、家にあった風邪薬を飲んでベッドで横になっていました。薬が効いていたこともあり、夫の「仕事終わったから帰るよ」の電話にも気がつくことができないほど眠ってしまっていました。
これはあとで夫から聞いた話ですが、いつもはすぐに電話に出る私が、何度電話をしても出ないのでとても心配したそうです。実は、この日の前日に軽くケンカをしていたため、夫は私がそのことをまだ怒っていて電話に出ない、もしかしたら家を出て行ったのかもしれないとも思ったのだとか。
私は前日のケンカについて何とも思っていなかったのですが、夫は不安になって、普段は仕事帰りにコーヒーを買ってのんびり帰ってくるのに、この日はどこにも寄らずに高速道路を使って、慌てて帰ってきたそうです。
家の中は真っ暗
夫が帰ってくると、いつも電気が付いているリビングは真っ暗で、トイレもお風呂も洗面所も真っ暗。ドアがしまっている私の部屋も真っ暗で物音ひとつしないので、私の部屋のドアをそーっと開けるとベッドで寝ている私の姿を発見。ひとまず、私が家出をしていなかったことに安心したそうです。
それから、私に「どうした?」と声をかけてきた夫。目を覚ました私が、「熱が出て動けないの。申し訳ないけど冷蔵庫にあるものでテキトーに夜ごはん食べて。私は起きるのがしんどいからいらないよ」と言うと、「わかった」と言い部屋を出て行きました。
また寝ようとしたのですが、キッチンからやけにガチャガチャと音がしていたので寝つけずにいると……。夫が私の部屋に小さなテーブル、土鍋、お椀、お箸を持ってきました。夫は私を起こして「何か食べないと元気にならないから」と言い、土鍋のふたを開けると1人分のうどんが。普段料理をしない夫なので、作ってくれたうどんの味はイマイチでしたが、とてもうれしかったです。
翌日すっかり元気になった私は、夫に「どうして土鍋で作ったの?」と聞くと、「土鍋のほうがおいしそうな雰囲気が出るから」と言われました。料理はできないけど雰囲気にこだわる夫はおもしろいなと思いましたし、結婚して何年経っても私のことを気にかけてくれるやさしさに心が温かくなりました。
著者/吉野 詠美
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