今回は、「生」教育アドバイザーとして、数々の教育現場で性教育の講演をされ、日々、ママやパパから生理をはじめとした性教育についての相談を受けられている、NPO法人HIKIDASHIの代表、大石真那さんに、実際にママやパパから受けた生理にまつわる相談で印象的だったものを教えてもらいました。
生理について、一番多い相談とは?
生理についての相談で一番多いのは、「わが子に生理のことを伝えるのはいいけれど、それを子どもが外で口にしてしまわないか不安がある」、「周囲から『あの家はこんなに小さいころから子どもに何を教えているんだ』と思われてしまいそうで子どもに伝えるのをためらってしまう」という声です。
子どもに「生理を伝えること」が大切だとはわかっているものの、周囲の目を気にされるママやパパが多くいらっしゃるのです。もちろん、その気持ちは理解できますが、それで伝えるのをやめてしまったり、躊躇してしまうのは、とてももったいないことだと思います。
そういった相談をされた際には、たとえば幼稚園児くらいのお子さんに話すとしたら、まずは「お父さん、お母さんは大切なことだと思うからこのお話をします。でも、みんなそれぞれの家でこの話を聞いているかはわからないし、急にこの話を聞いてびっくりする子もいるかもしれないから、この話はおうちの中だけにしようね」と最初に話すのはどうでしょうか、とお伝えしています。
とはいえ、そう伝えたとしても、子どもは覚えたばかりの言葉を使いたがるもの。お子さんが絶対に家の外で言わないとも限りません。
そういうときは、自分の中で「なんのために自分が子どもに伝えようと思うのか」というところと、今一度向き合ってみるといいかなと思います。
きっと、ママやパパの中には「いろいろな情報が溢れている中で、体に関することをきちんと理解してほしい」「生理は隠すものではなく、女性の体に起こる自然なこと。タブー感を持たずに知ってほしい」など、いろいろな思いがあると思います。その思いこそとても大切なもの。決して、「小さいころから生理について教えていること」は恥ずかしいことではありません。
ユネスコやユニセフ、WHOなどが2009年に発表した『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』にも、「月経(原文のままの表記)は一般的なことで、女子の身体的発達の自然な一部であり、秘密やスティグマとして扱われるべきではない」とあります。その思いを大切にしながら、ぜひお子さんと向き合ってみてほしい、と思います。
小学生など、もう少しお子さんが大きくなり、生理について多少理解してもらえる年齢だと思ったときには、「自分のおうちでこの話を聞いていない子もいるかもしれないけれど、そういう子にも大切なことだと教えてあげてね」と声をかけてもいいかもしれませんね。
今回は、「生」教育アドバイザーとして、日々ママやパパから相談を受けられている大石さんに、「実際に受けた相談」の中から特に印象的だったものを教えてもらいました。
「生理をどう伝えたらいいのか」ではなく、「生理について伝えることで、周囲にどう思われるか不安」という相談が多いということに驚きました。生理への理解が深まっているとはいえ、やはり人それぞれで考えは異なるもの。周囲にどう思われてしまうか不安に思うママやパパの気持ちもとても理解できます。ただ、大石さんの言う通り、「性の話、生理の話は恥ずかしいもの」ではありません。
もし、ご不安に思われているママやパパは、大石さんのお言葉をぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。大石さんも言っています。「生理を、当たり前にある大切なこととして、タブー視せずに誰もが話せる環境が作れるといいですね」と。
イラスト:にしこ
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