出産後にやってくる後陣痛を知らず、出産後につらい思いをするママが多いようです。実際に痛みを感じたときの不安を和らげるためにも、後陣痛のことを事前に知っておきましょう。
後陣痛とは?
胎盤が出たあと、大きくなった子宮は妊娠前の大きさに戻ろうとします。これを子宮復古といい、子宮が収縮することで胎盤が剥がれた部分に生じたたくさんの血管を圧迫し、そこからの出血を止める役割も果たしています。
この子宮復古と胎盤がはがれた部分からの出血を止め、子宮復古を促すための生理現象が後陣痛なのです。後陣痛の痛みの程度は人それぞれ違います。チクチクと痛むだけの人や、生理痛のような痛み、また陣痛のような激痛を感じる人までいます。後陣痛は胎盤娩出直後から数日以内が多いですが、産後数週間にわたることもあります。
初産婦と経産婦での後陣痛の痛みの違い
初産婦か経産婦かによっても、後陣痛の痛みの程度が異なります。経産婦は初産婦に比べて子宮が大きくなっていることと子宮筋の疲労が大きいので、強い子宮収縮が必要となり、より強い後陣痛が起こるため、強い痛みを感じる場合が多いです。
経腟分娩と帝王切開での後陣痛の痛みの違い
帝王切開の場合、麻酔の影響もあり、子宮収縮が経腟分娩の場合より緩やかなことが多いです。そのため、産後の出血が多くなる可能性があります。それを予防するため、子宮に直接子宮収縮剤を注射したり、術後の点滴に子宮収縮剤を入れて経過を見ることがあります。帝王切開の傷の痛みもあるので、後陣痛をより痛いと感じるかもしれません。
医療短期大学専攻科卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
※参照元:ベビーカレンダー「陣痛はいつまで?緩和方法や注意事項について」〈https://baby-calendar.jp/knowledge/birth/960〉
後陣痛を体験したママたちの声
- 「後陣痛」は、第二子のときに経験しました。2回目の出産も当然陣痛はありましたが、このときは出産を終えて間もなく、また違う痛みがやってきました。 私の場合、この後陣痛は、出産ピーク時の痛みほどではなかったのですが、母乳をあげるたびにおそってくる痛みに何度もひざを叩いては、歯を食いしばって冷や汗を流していました。出産を終えてひと安心したのですが、心の中では「まだ痛い思いをするのか」と嘆いていました。 陣痛や後陣痛の痛みは人それぞれで、帝王切開で出産された方も、術後の痛みは相当なものだと聞きます。この痛みを乗り越え、わが子を抱いたときのよろこびは忘れられません。これから出産を迎える方には、気休めの言葉はかけられませんが、いつか終わりがきます。そう思って乗り越えていただけたらと私は思っています。(小室 忍さん)
- 1人目のときは下半身が痛くて歩くのも座るのもつらく、ごはんも立って食べていたくらいなのに、2人目のときは会陰の裂け具合が少なかったようで、下半身の痛みをあまり感じず出産後のハイテンションで少し浮かれていた私に言いたい。後陣痛は経産婦の方が痛いということを。 子宮がギューッと締め付けられるような痛みに耐えられず、病院から処方された痛み止めを服用しました。 出産前後だけでもこれだけの痛みに耐えて、赤ちゃんを産んでいるということを世の中の男性に強く訴えたいです。前駆陣痛か陣痛かの違いがわからないのかと主人に呆れられましたが、ぜひ主人にこの痛みを体験してもらいたい気持ちです。(村上八重美さん)
出産後は赤ちゃんのお世話がはじまります。そんな中で後陣痛があるとつらく感じてしまうかもしれませんが、後陣痛は子宮が回復に向かっている傾向だと意識することで少しだけ気持ちがラクになるかもしれません。もしも、あまりに痛みが強く、赤ちゃんのお世話に影響する場合やつらいときは、医師や助産師に相談してみてくださいね。