「望まない妊娠をし、誰にも相談できず、出産したものの赤ちゃんを置き去りに…」といった内容の悲しいニュースを目にすることがあります。そんな悲しいニュースを減らすために日本のみならず、海外でもさまざまな対策が検討・実施されています。
ドイツでは「内密出産制度」を施行
ドイツでは、2014年5月より「内密出産制度」が施行され、実施されてきました。内密出産とはかんたんにいうと、母親が自身の身元を開示されることなくおこなう出産のことをいいます。
ドイツ助産師協会(DHV)の公式見解を示した文書によると、ドイツでおこなわれている内密出産制度は、匿名のもと子どもを出産することができ、妊婦の実名は相談所だけに届け出をするというもの。子どもが養子に出された場合、16歳になると、自分の実母の名前を知ることが可能になりますが、もし母親が差し迫った理由から、引き続き秘密を要望する場合は、情報が開示されることはないという仕組みです。
日本での取り組みは?
日本では、熊本市の慈恵病院が2007年より、親たちが育てることができない新生児を託す「こうのとりのゆりかご(通称赤ちゃんポスト)」を設置し、話題となりました。
この慈恵病院では、日本にも内密出産制度を導入できないか?と、内密出産制度を導入しているドイツの法制度に詳しい准教授を招いて勉強会を開くなど、前向きに検討を進めていたことがわかっています。
そして新たな動きが…
現時点で、自治体や国による内密出産の制度についての具体的な動きはありませんが、2017年12月には、慈恵病院の蓮田理事長が「内密出産というのを取り入れたとしても、すべて解決するというわけではないと思いますが、(自宅出産の)危険は少しでも減らせたらという思いがある」として、内密出産制度導入への意欲を語っていました。
また、先日5月7日には、慈恵病院が内密出産に関する仕組みの素案を熊本市へ提出したとさまざまなメディアに報じられています。
予期せぬ妊娠に悩む女性の手助けとなり、危険な孤立出産を防ぐ内密出産制度。今後の動きに注目したいと思います。