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厚労省が無痛分娩取扱施設の一覧を公表。安全な無痛分娩に向けた国の動き

この記事では、厚生労働省の「無痛分娩の安全な提供体制の構築に関する提言」と最近の動きについて解説しています。

赤ちゃんとママ

 

イギリス王室のキャサリン妃もおこなったという無痛分娩。海外では6割以上の妊婦さんが取り入れている分娩方法のひとつです。日本でも徐々に無痛分娩を取り入れる産院も増えてきましたが、その一方で無痛分娩による死亡事故がメディアに取り上げられ話題にもなっています。今回は、安全な無痛分娩に向けての国の動きについて紹介します。

 

これまでの背景

2017年4月におこなわれた日本産科婦人科学会学術総会で、2010年から2016年までの間の妊産婦死亡298例のうち13例(実際には271例中14例)で無痛分娩がおこなわれているという報告を踏まえ、無痛分娩をおこなう際は適切に対応できる体制を整えるべきとの緊急提言がされました。

 

これを機に無痛分娩をおこなった母児の死亡に関する報道が増え、無痛分娩をおこなって死亡した方の遺族から、厚生労働大臣宛てに無痛分娩に関する分析と再発防止を求める要望書が提出されました。また、 厚生労働科学特別研究「無痛分娩の実態把握及び安全管理体制の構築についての研究」がおこなわれ、「無痛分娩の安全な提供体制の構築に関する提言」に至りました。
 

「無痛分娩の安全な提供体制の構築に関する提言」とは?

1.安全な無痛分娩を提供するために必要な診療体制に関する提言
最新の「産婦人科診療ガイドライン産科編」(編集及び監修 日本産科婦人科学会及び日本産婦人科医会)を踏まえた対応、インフォームドコンセントの実施、麻酔管理者の設置、無痛分娩研修を修了した助産師・看護師を活用することなどの提言

 

2.無痛分娩に係る医療スタッフの研修体制の整備に関する提言
無痛分娩にかかわるスタッフが産科麻酔に関する知識や技術を維持し、最新の知識を更新するための研修、そして無痛分娩を含む産科麻酔を担う人材を育成するための研修に関する提言

 

3.無痛分娩の提供体制に関する情報公開の促進のための提言
無痛分娩を希望する妊婦が、適切な分娩施設を選択できるように、ウェブサイトを活用した情報公開に関する提言

 

4.無痛分娩の安全性向上のためのインシデント・アクシデントの収集・分析・共有に関する提言
無痛分娩の際に生じたインシデント・アクシデントの事例を漏れなく収集・分析し、再発防止策を検討できる体制の整備に関する提言

 

5.「無痛分娩に関するワーキンググループ(仮称)」の設置に関する提言
今後も継続的により安全な無痛分娩の提供体制を構築していくためのワーキンググループに関する提言

 

提言を受けての新たな動き

厚生労働省は、「無痛分娩の安全な提供体制の構築に関する提言」をふまえ、「無痛分娩取扱施設のための、『無痛分娩の安全な提供体制の構築に関する提言』に基づく自主点検表」を作成し、提言の周知徹底及び自主点検表の活用を呼びかけました。

 

そして提言で示された無痛分娩の提供体制に関する情報を入手しやすい環境が整備されるまでの間も、無痛分娩を希望する妊婦さんが産院選びをするときの参考となるよう、無痛分娩取扱施設の一覧を作成し、6月15日に厚生労働省のHPに公開しました。こちらは適宜情報を更新予定とのことです。

 

 

現在発表されている提言には強制力はなく、どこまで対応するかは医療機関に委ねられるということです。今後、無痛分娩に関する正しい情報がきちんママたちの元に届き、より一層安全な医療体制が整えられることで、ママが安心して無痛分娩に臨めるようになるとよいですね。

 


※参考:厚生労働省「無痛分娩の実態把握及び安全管理体制の構築について」「無痛分娩の安全な提供体制の構築に関する提言」「無痛分娩の安全な提供体制の構築について」「無痛分娩取扱施設の一覧作成について(依頼)

 

 

◆関連動画 出産ドキュメンタリー

 

 

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