祝福されない結婚
義実家に着いてみると、なぜか義兄も婚約者を連れてきていて、結婚の挨拶をしていました。長男の大事な日に被せてくるなと文句を言われて唖然とする私たち。前もって連絡も入れていたので、わざわざ予定を被せてきたのは義兄のほうです。
結局義両親は私たちの結婚には無関心。「跡継ぎ長男さえいればいいから勝手に結婚でも何でもしろ」 と言われて挨拶は終了しました。
さらには「結婚式には呼ぶな。式の費用もお祝いも1円たりとも出さない」とまで言われ、義兄も早く帰れと言わんばかりの様子を見せます。
想像以上のひどい対応に、私たちは言葉を失いました。二度と会う気も起きなかったので、これ以上連絡はせず私たちは入籍。二人で写真だけの結婚式をしました。
その後義両親に連絡をしたのは、孫である息子の誕生報告でしたが、義両親は無反応。関係修復は不可能と判断した私たちは縁を切ることにし、今では音信不通状態です。
手のひらを返した義両親
結婚して10年がたったある朝。突然義両親が訪ねてきました。かつての様子とは180度異なり、義両親は夫が元気に過ごしていることを喜び、孫のことも舐め回すようにかわいがっています。
そして「今のお前なら合格だ! うちを正式に継げ」と言ってきたのです。
しかし、夫は笑顔で拒否。焦った義父は、私に「実家の土地が欲しいだろ?」と尋ねますが、私も笑顔で突っぱねました。大した財産もないのに“跡継ぎ”としつこく言う義父は、滑稽すぎて笑えてきたのです。
義父の話によると、同居していた義兄たちは義両親のスネをかじるだけかじって出ていってしまったそう。しかも義姉の両親が資産家だったようで、義兄が養子になって跡を継ぐと言われたのだとか……。
義兄は「継ぐものなんて何もないのに跡継ぎなんてバカバカしい!」と捨て台詞を吐いて出ていったよう。それなのに義父は、由緒正しい名字を告げと夫に言うのです。
仮に跡継ぎになったとしたら、義両親の世話をさせられるだけでしょう。私たちに良いことなど何もないのです。
夫が家を継げないワケ
断固として断る夫を見て、義母は、私が夫をそそのかしたと騒ぎました。昔の夫は家族思いで、家族の危機には手を差し伸べてくれるやさしい子だったと泣き落としにかかったのです。
義母の言うことは間違っていません。だから夫は義両親を拒否するのです。夫にとって、家族は私と息子だけ。愛する妻子に嫌な思いをさせないためにも、義両親とは縁を切るときっぱり言ってくれました。
そもそも、夫はもう義実家の跡継ぎにはなれません。家を訪ねてきたのに、表札を見て気付かなかったのでしょうか。入籍時、すでに縁を切ろうと考えていた夫は、私の実家への婿入りを決意したのです。
つまり夫は義父が希望する「代々の名字を継ぐ」と言うことができないのでした。
かつては長男を優遇する風習もあったようですが、時代は令和。長男も次男も同じ息子ではないでしょうか。男女や生まれた順番問わず、きょうだいには平等に接したいものですね。
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。