前回までは、ネガティブな感情が誰の中にもあるということ。そして、イライラや怒りの原因のほとんどが、子育て中の疲れやストレスに由来していることについて学んできました。
では、どうして子育て中はちょっとしたきっかけで、イライラして怖い顔になってしまうのでしょうか。
「ため込んだネガティブ感情」がいつか溢れてイライラや怒りになる
子どもを叱っているときに、夫から「そんなに怒らなくてもいいんじゃない」と言われると、カチンときてしまう。そのとき、反射的に大きな声で言い返せば一時的にはスッキリするかもしれません。
ですが、それでは夫にはあなたが怒っている真意が伝わりません。そのイライラの奥には、「自分ばかり子どもを叱っている」「本当は叱りたくない」「夫が子育ての大変さをわかっていない」など、感じているのに言えていない大切な気持ちがたくさんあるはずです。
できるだけ普段から、自分の感情を伝えていく練習をしてみませんか。最初は難しいかもしれませんが、怒りが爆発するのを少なくすることができるはずです。
家事や育児に完ぺきを求め過ぎない
2歳ごろになれば、子どもは成長の証として、いわゆる“イヤイヤ期”を迎えます。「ごはんを食べなさい」「トイレにいこう」と優しくうながしても、激しく拒否され、ぐずってしまうことも。
そんなときについ怒鳴ってしまうと、あとで自己嫌悪におちいってしまううえに、怒鳴るという怒りの表現方法がクセになってしまう可能性もあります。
自己嫌悪や罪悪感という感情は、持っていてもあまりいいことがありません。それらがストレスとなって、余計にイライラしやすくなるからです。ネガティブな感情で心がいっぱいになりそうになったら、「つかれた〜」などと口に出して、心にふたをしないようにしてみてください。
自分を気分転換させる方法を見つけよう
パパやほかの家族に子どもを1日見てもらって気分転換ができた日は、些細なことでイライラしたり怒ったりしないはずです。
心がストレスでいっぱいにならないように、普段から自分を気分転換させる方法をいくつか持っておくと安心です。たとえば、ヨガやストレッチ、ジョギングなどといった有酸素運動は精神をいい状態に保つといわれています。
・1日1回は口角をあげてリラックス。作り笑顔でもOK
・アロマを焚く
・お気に入りの子どもの動画を見る
などなど。時間がないときにも無理なくでき、自分に合った方法を探してみてださい。
篠真希先生からのアドバイス!
気持ちを溜め込むことは、それだけでもエネルギーを使います。愚痴を言わないことや完ぺきを目指すことは素晴らしいのですが、ときには気持ちを解放してあげましょう。ただ、そのときには気持ちをぶつけるのではなく、共有してもらう意識を持って。子どもにも、怒るよりママの気持ちを伝えるほうが効果がありますよ!
イライラコントロールのためには、つい感情を抑えてしまうような出来事をそのままにしないこと。自分の気分転換方法を探すことなどをお伝えしました。次回は、急にあらわれるイライラへの対処方法をお伝えします。(TEXT:いずみかな)
一般社団法人日本アンガーマネジメント協会1期生。アンガーマネジメントファシリテーター。大学卒業後、総合商社秘書室勤務。その後、7年にわたる海外での子育て経験を経て、アンガーマネジメントを学ぶ。日本で初めて「母親のためのアンガーマネジメント講座」を開催。著書に『子育てのイライラ・怒りにもう振り回されない本』(すばる舎)など。