古くから妊娠5カ月目の戌の日におこなわれてきた、安産を願う日本独自の風習「安産祈願」。有名な神社やお寺は大変混むそうですが、実際の混雑具合や雰囲気はどのような感じなのでしょうか? 安産祈願で人気のスポットを訪れて、戌(いぬ)の日の様子をチェックしてきました。
安産祈願と戌の日
<安産祈願とは?>
安産祈願とは、妊娠5カ月の戌(いぬ)の日に神社仏閣へ参拝に行くことです。さらに、ご祈祷をうけた腹帯を「神様より新しいお命を確かにお授かりしました」という思いで身につけることを<帯祝い>と言います。もともとは皇室や武家がおこなっていた儀式で、一般に広まったのは江戸時代からと言われていて、500年以上親しまれている風習です。
<なぜ戌の日なの?>
お産が軽く子だくさんな犬にあやかって、十二支の「戌」にあたる日におなかに岩田帯という、さらし状の腹帯を巻き、安産祈願をするようになったのがはじまりです。
東京都日本橋にある、安産祈願の名所『水天宮』
全国に「安産祈願」をおこなう寺社は多くありますが、今回は全国的に有名な東京都日本橋の水天宮の様子を覗いてみました。
水天宮は安産祈願以外にも、子授け・七五三・初宮・弁天・水難除けなどのご利益で知られています。都内だけではなく遠方からも多くの人が祈願に訪れ、特に戌の日は毎月大盛況。大安吉日や土日祝が重なった戌の日は、本殿のある敷地の外まで長蛇の列ができます。
なぜ、そんなにたくさんの人が水天宮に安産祈願に訪れるのでしょうか。その人気の理由を探してみました。
人気の理由その1:妊婦さんのための配慮
妊婦さんにとって外で並ぶのはちょっとつらいですよね。そこで、水天宮では外での待ち時間が極力少なく済み、室内で快適に過ごせるようにさまざまな配慮がされています。
清潔感のある待合室は、室温が一定に保たれるように細かくコントロールされていて、おなかが大きい妊婦さんでも余裕で入れる広さのトイレや授乳室も完備されています。
また、戌の日はママのみが入り、付き添いのご家族には別室で待ってもらうので、屋内に入るまでの待ち時間が大幅に短縮されます。
人気の理由その2:フォトジェニックな『子宝いぬ』
戌の日の境内では、本殿への参拝、ご祈祷の受付、お守りの授与など、いろいろな列ができますが、なかでも一番の待ち時間は、さらなるご利益を授かることができる「子宝いぬ」です。
子宝いぬの周囲を取り巻く十二支のうち、自分の干支を撫でると、安産・除災招福等のご利益があるといわれています。可愛らしい犬の親子の姿はSNS映え必至。みんな写真を撮っていくので、通常の参拝より時間がかかるんです。
ちなみに、戌の日(平日)のお昼過ぎに並んでみたところ、所要時間は約26分。賽銭箱前でのお参りや子宝いぬとの撮影で混雑しているように見えますが、ご祈祷の待ち時間はなんと7分でした。
毎月の戌の日の盛況ぶりは、まるでお祭りのようで妊娠中の思い出づくりに最適です。体調と相談しつつ、安産祈願に訪れてみてはいかがでしょうか。
2018年〜2019年 戌の日カレンダー
【2018年】
8月 10日(金) 仏滅、22日(水) 赤口
9月 3日(月) 赤口、15日(土) 先勝、27日(木) 先勝
10月 9日(火) 先負、21日(日) 先負
11月 2日(金) 先負、14日(水) 仏滅、26日(月) 仏滅
12月 8日(土) 赤口、20日(木) 赤口
【2019年】
1月 1日(火) 赤口、13日(日) 先勝、25日(金) 先勝
2月 6日(水) 友引、18日(月) 友引
3月 2日(土) 友引、14日(木) 先負、26日(火) 先負
4月 7日(日) 大安、19日(金) 大安
5月 1日(水) 大安、13日(月) 赤口、25日(土) 赤口
6月 6日(木) 友引、18日(火) 友引、30日(日) 友引
7月 12日(金) 先負、24日(水) 先負
取材協力:水天宮(東京都)
〒103-0014 東京都中央区日本橋蛎殻町2-4-1 http://www.suitengu.or.jp/