赤ちゃんが血便をしたら、ママはびっくりしてしまいますよね。機嫌がよく、ほかに症状が現れていない場合は、緊急性がない可能性も考えられますが、場合によっては早急に医療機関を受診する必要があるので、対処について確認しておきましょう。今回は、赤ちゃんの血便の原因と対処法について解説します。
正常な赤ちゃんのうんちについて
赤ちゃんのうんちは、月齢によって特徴が異なります。
・新生児
新生児は、黒緑色の粘り気のある臭いのないうんちがでます。この時期は、やまぶき色や黄色、淡い茶色、明るい緑色などへと変化するため、これらの色のうんちであれば特に心配いりません。また、多くは水っぽい性状で、甘酸っぱい臭いがします。
・生後3カ月~6カ月
腸内で多くの水分が吸収されるようになるため、残ったうんちはドロドロやベタベタとした性状になります。色は、黄色や茶色、緑色などです。離乳食が始まると、うんちが硬くなったり柔らかくなったりします。そして、臭いも強くなっていきます。
・生後7カ月~
大人の便と似たようなうんちが出るようになります。前日の食事の内容によって便の量や硬さが変わります。
このように、赤ちゃんの便は月齢が進むにつれて大人の便に近い見た目、性状になっていきます。なお、母子手帳にも便の変化について記載されているので、確認しておきましょう。
赤ちゃんが血便になる原因と推測される病気
赤ちゃんの血便の原因には、出生時にママの血液を飲み込んだ、消化管からの出血、医療行為によって起きた出血などが挙げられます。その他、赤ちゃんのうんちはさまざまな原因で赤くなることがあり、次のことも考えられます。
・抗生物質などの薬剤の影響
育児用ミルクを飲んでいる赤ちゃんが、ある種の抗生物質を一緒に飲むと、レンガ色の便が出ることがあります。
・赤いものを食べた(離乳食開始後の赤ちゃん)
トマトやスイカなど赤いものを前日に食べると、うんちが赤くなることがあります。
しかし、血便から推測される病気もいくつもあるため、異常と感じた場合はすぐ医師に相談をすると良いでしょう。
血便から推測される病気
・新生児メレナ
新生児メレナとは、ビタミンKが不足することによって消化管から出血しやすくなり、血便が出る病気です。また、生後1~2カ月ころに母乳で育てられている赤ちゃんにビタミンK欠乏が起こり、出血しやすくなることもあります。現在では、予防として出生後すぐと生後1週、生後1カ月の合計3回のビタミンKシロップの投与がおこなわれています。
・ミルクアレルギー
牛乳に対してアレルギーを持つ赤ちゃんが牛乳成分を含むミルクを飲むと、ミルクアレルギーによって大腸に炎症が起こり、出血して血便が出ることがあります。ミルクを除去することで症状が改善に向かいます。母乳しか飲んでいなくてもミルクアレルギーが起こることがあり、その場合は母親が牛乳を飲まないようにすることで、改善が期待できます。
・結節性リンパ濾胞過形成(けっせつせいりんぱろほうかけいせい)
大腸の粘膜にリンパ濾胞の過形成という凹凸が起こり、その表面から出血することで、血液が便に混じるようになります。母乳で育てられている赤ちゃんにみられることが多いとされています。多くは、生後数カ月で自然に治ります。
・腸重積(ちょうじゅうせき)
腸の中に腸が入り込む病気です。間欠的な激しい腹痛や嘔吐などの症状が現れ,浣腸するとイチゴジャム様の血便がでます。総合病院の小児科を受診しましょう。
・細菌性腸炎
消化管からの出血により、血便が出ます。サルモネラやカンピロバクター、O157などの細菌に感染することで起こります。O157に感染した場合は、症状が激しいことが特徴です。O157による腸炎は緊急疾患ですので、すぐに病院を受診しましょう。
・肛門の裂傷
便が硬いために、肛門が切れて出血することがあります。
このように、便に血が混ざる原因はさまざまなので、様子がおかしいと感じた場合は医療機関を受診しましょう。
血便が出た場合の対応について
血便が出た場合、まずはデジカメやスマホのカメラで写真を撮りましょう。すぐに受診するのであれば、おむつごと持って行っても良いかもしれませんが、感染の恐れもあるため、医療機関へ事前に確認が必要です。また、赤ちゃんの機嫌がよくても原因を調べるためにも一度は受診したほうが良いでしょう。
血便の他に不機嫌や発熱など何らかの症状がある場合は、できるだけ早く受診してください。激しく泣く、嘔吐などの症状が現れている場合は、深夜でも病院を受診しましょう。もし、意識の消失など重篤な症状が現れている場合は救急車を呼ぶことが大切です。
まとめ
赤ちゃんの便に赤いものが混ざっていたり、いつもと色が違うと慌ててしまうかもしれませんが、まずは便の写真を撮り、他に症状が現れていないか確認しましょう。
劇的な症状が現れている場合には、深夜でも受診してください。意識の消失など重篤な症状が現れている場合は、医療機関を受診しましょう。
肛門が切れて出血している場合もありますが、重篤な病気の可能性もあるので、適切に対処することが大切です。
愛媛大学医学部卒業。神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神奈川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等を経て、現在、同総合診療科部長。小児科専門医、小児神経専門医、新生児専門医。