「気軽に専門家に質問ができて、さらに返信も早い」とママから日々感謝の声が寄せられているベビーカレンダーの人気コンテンツ【助産師に相談】の掲示板。その中から特に注目をあつめた質問の内容を一部抜粋してご紹介します。今回は、乳腺炎に罹ってしまったママから授乳についてのご相談です。
Q. 乳腺炎になってしまいましたが……
乳腺炎になってしまったのですが、赤ちゃんに母乳を飲ませても大丈夫でしょうか?
宮川めぐみ助産師からの回答
乳腺炎のときは、どんどん飲んでもらってください。いろんな角度から吸ってもらうといいと思います。乳腺炎の症状には発熱もあるので、なかなか体勢をとるのもつらいかと思いますが……。状況により母乳外来に行かれるといいと思いますよ。
※参考:ベビーカレンダー「助産師に相談」コーナー〈 https://baby-calendar.jp/talk/category/tree/11/0 〉
乳腺炎の種類と原因
乳腺炎には、うっ滞性乳腺炎と感染性・急性化膿性乳腺炎(以下、感染性乳腺炎)があります。
うっ滞性乳腺炎は、おっぱいの中に母乳が長時間留まることで、母乳が炎症反応を引き起こし、乳腺炎が生じると言われています。
うっ滞性乳腺炎の原因は、赤ちゃんが効果的に母乳を飲みとれていないこと。そして、授乳間隔があいてしまったときなどが考えられます。そして、きついブラジャーの着用など、おっぱいが圧迫され、母乳の流れが妨げられてしまったり、乳管がつまることでもうっ滞性乳腺炎になります。
そのほか、母乳過多、食事の影響など、母乳がうっ滞してしまう原因はいろいろあります。
感染性乳腺炎とは、文字通り細菌の感染によって生じた乳腺炎です。感染性乳腺炎は、いきなりかかるものではなく、乳管が詰まり、うっ滞性乳腺炎を生じ、さらに感染性乳腺炎へ移行するといわれています。そして、感染性乳腺炎が悪化すると、その部分に膿瘍(のうよう)がつくられてしまい、膿(うみ)を外に出す処置が必要になることも。
感染性乳腺炎は、赤ちゃんの口や鼻の中、ママのおっぱいの皮膚表面の常在菌が原因になることが多いといわれています。母乳がスムーズに出ているときは、もしおっぱいの中に細菌が入ってしまったとしても、細菌はおっぱいの外に流されてしまいます。
しかし、母乳がうっ滞している状況では、細菌が流されることはなく、母乳が細菌の栄養となって、細菌が増殖し、炎症が起こってしまいます。乳首が切れたり、傷がある場合、母乳がうっ滞している状態は、感染性乳腺炎のリスクが高まります。
うっ滞性乳腺炎の対処法
うっ滞性乳腺炎は、母乳のうっ滞を取り除くことで、症状が改善することが多いです。変だな? と思ったら、まず今までの生活や授乳状況を振り返ってみましょう。
長時間外出していて、赤ちゃんにおっぱいを飲ませられなかった、疲れて長時間寝てしまった、赤ちゃんが起きてくれなかった……など、授乳間隔があいてしまったり、1回の授乳間隔が短くなっているということはありませんか? このような場合は、授乳間隔を短くしたり、1回の授乳でしっかり赤ちゃんに母乳を飲んでもらうようにしましょう。
赤ちゃんに母乳を飲ませるときには、トラブルのあるほうから飲ませるようにして、抱き方を工夫しながら、いろいろな方向から飲んでもらうようにしていきましょう。赤ちゃんがうまく飲んでくれないということもあるかもしれません。そのようなときには、まず、乳首のマッサージをおこなって、少しでも赤ちゃんが母乳を飲みやすくなるようにしましょう。
感染性乳腺炎の対処法
感染性乳腺炎の治療の基本は、炎症の原因を取り除くことにあります。
まずは母乳のうっ滞を取り除くこと。授乳間隔や授乳時の姿勢などを振り返り、問題がないか確認しましょう。授乳姿勢を改善することで、乳首が切れるなどの乳首トラブルも回避できることがあります。
母乳のうっ滞を試みても、症状が改善しなかったり、初めから乳腺炎の症状が強い場合には、抗菌剤が使用されます。授乳中にお薬を飲むことをためらうママもいらっしゃいますが、授乳に影響のないお薬が処方されるので、医師の指示通り内服するようにしましょう。
感染性乳腺炎から膿瘍形成まで症状が進行したママの中には、もう母乳育児をやめたいと思ってしまう方も少なくないようです。膿が母乳に混じっている場合に、搾乳して捨てるよう指導されることもあるようですが、授乳を続けても問題ないといわれています。
※参考:基礎知識(ベビー)「ベビー乳腺炎とは?うっ滞性乳腺炎の原因と対処法について【授乳中のトラブル】」〈 https://baby-calendar.jp/knowledge/baby/955 〉、「乳腺炎とは?感染性乳腺炎、急性化膿性乳腺炎の原因と対処法について【授乳中のトラブル】」〈 https://baby-calendar.jp/knowledge/baby/954 〉【監修:助産師 REIKO】
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