正直に「海外赴任のことなんて何も聞いていないです!」と答えると、上司は「そうよね、私も違和感があったの」と言っていました。どうやら上司は私に話す前に、たまたま通りがかった夫に私の海外赴任の話をしたようで……?
奪われた海外赴任
上司、先週の金曜日に私の夫に海外赴任の話があることを伝えたそう。「自分から妻に伝えておきます!」と答えた夫。そして週明け、「週末に2人で話し合った結果、断らせてください」「そして、僕を代わりに行かせてください!」と連絡をしてきたそうなのです。
いくら思い返してみても、この週末、夫からそんな話をされた覚えはありません。そもそも、キャリアを優先してきた私が海外赴任のチャンスをみすみす逃すわけがないのです。
「彼なりに夫婦の先のことを考えた結果なのかもしれないけど……あなたの気持ちも考えずに勝手に話をすすめるなんて、よくないわよね」と上司。
最近、私が昇進して夫の年収を超えたこともあり、夫はイライラしている様子でした。そういったところから、夫は海外の仕事を希望したのかもしれません。
「いったん私のところで海外赴任の話は止めておくから、夫婦2人でしっかり話し合ってみて」と上司に言われ、私はうなずいたのでした。
夫の海外赴任と発覚した衝撃の事実
その日の夜――。
「今日は飲み会で遅くなる!」「俺の海外赴任が決まったから、部下たちが送別会を開いてくれてるんだ」と連絡してきた夫。
「すごいだろ~?ついに上の人たちに俺の実力が認められたんだ」「早ければ今月末にはアメリカに行くことになるかもしれなくて」「しかも数年単位の大きな仕事!帰ってきたら大きく出世だな!」と聞かれてもないことをべらべらと話します。
「本当は私から奪ったくせに……」と言うと、「うわ、バレたか……」と夫。しかし悪びれる様子もなく、「バレたところでもう遅いし!それにお前より俺のほうが適任なんだよ!」「お前のレベルじゃ舐められて仕事にならないだろうから、ここは優秀な俺がガツンと結果を出してこないとな!」と言い出したのです。
最近じゃ家のことも一切してくれないし、会社では残業を私に手伝わせることもある夫。そもそも2人で始めたオンライン英会話だって、私は続けていますが、夫は3日坊主でした。そんな人が海外の仕事でまともな結果を出せるとはとても思えません。
「英語に関しては心配するな!俺には帰国子女の優秀な部下がいるからな!」と夫。今年の新入社員の子です。
「彼女が仕事辞めて結婚して俺についてきてくれるっていうんだ」「帰国子女だから英語もペラペラだし、こんなに頼もしいことってないよなぁ」
それを聞いて、私は愕然としました。「まさか……浮気してたの!?」と聞くと、「まぁ、そんなところだ」と開き直って認める夫。
私とも社内恋愛を経て結婚したというのに、まさか浮気相手まで同じ会社でつくるなんて……。
「仕事ばかりのつまんない嫁はもういらないんだよ!」「俺よりも出しゃばって出世しやがって!そういうところが前から気に入らなかったんだよ!」と言われて、私はショックを受けました。私のキャリアも応援してくれて、お互いに切磋琢磨できる人だと思っていたのに……。
「海外赴任は彼女を連れていく!彼女を本気で愛してるんだ」
「だから離婚してくれ!頼む!」
「はーい、すぐにでも!」
「え?」
間髪を入れず、私は「それよりも今すぐ離婚しようよ!」と伝えました。さすがに夫も驚いたようです。
「私が離婚を引き留めても、あなたにとっては迷惑でしょ?」「もう気持ちの整理はついたし、会社や両親たちへの報告も私に任せて!」「早速今から役所に行って離婚届をもらってくるね!」
夫は「普通は泣いてすがってくるもんだろ……?」「捨てられてみじめで悲しい……はずだよな?」と言っていましたが、私が「悲しいからこそ、2人には早く幸せになってほしいの!」と言うと、「そうか、そういうものなのか……」となんとか納得したようでした。
そして、私はすぐに離婚届と財産分与、慰謝料の書類を整えました。その後、「面倒な手続きは私が全部やっておいたから、あなたはただサインしてくれればいいよ!」とだけ言って、夫にすべての書類にサインさせたのです。
取り戻した仕事と夫の末路
翌日――。
「おい、なんてことしてくれたんだ!」と怒りの電話をかけてきた元夫。「会社に後輩とのことまでチクるなんて、お前は馬鹿か!?」と私を怒鳴りつけてきました。
私は宣言通り、元夫との離婚理由を会社にしっかり報告していました。「仕事ばかりで浮気される嫁が悪いんだそうです!」と言うと、報告を受けた上の人たちは顔色をなくしていました。
「ふ、ふざけるな!お前のせいで俺のキャリアが台無しだ!」「海外赴任の話も白紙になったんだぞ!?」「それに、お前だって若い女に乗り換えられた惨めな女なんだから、会社にいづらいだろ!」
「それはかわいそうに、でも私なら大丈夫だから安心して!」「私のほうにあらためて海外赴任の話が来たから、何言われても私の耳には届かないし!」と言うと、「さてはお前、仕事を取り返すために最初から計算づくで……!」と元夫。
私は「これから海外赴任の準備があるから、またね~!」とだけ言って、やり取りを終えました。
その後――。
会社の規定では、社内不倫は本来懲戒処分の対象。しかし、上の人が「2人とも最初の下積みからスタートしなさい」「チャンスをあげたのに断るなら、懲戒解雇がいいということかな」と元夫に話を持ち掛けてきて、夫は降格のうえ、部署移動をさせられることに。
そして離婚後、慰謝料や財産分与の書類の内容に、ようやくしっかり目を通したらしい元夫。夫が想定していた倍以上になっていることに気づいたようですが、すでにサイン済み。解雇されたら私への支払いができなくなってしまうため、元夫は下積みの仕事を受け入れたそう。
一方の私は、海外赴任が始まりました。忙しいながらも充実した日々を送っています。ずっと続けていたオンライン英会話のおかげで、言葉で苦労することもほとんどありません。しっかり結果を出してから日本に帰国できるよう頑張りたいと思っています。
【取材時期:2024年11月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。