「お前は早く帰れ!今すぐ家の前から消えろ!」と彼に追い出された私。事情もわからず途方に暮れていると、さらに彼から「お前はただの遊び!」「さっきいた女の子が俺の本当の婚約者なんだよ!」と追い打ちをかけられて……?
婚約者の失態
「適当に嘘ついて、そのままフェードアウトしようとしてたのに……」「お前にドタキャン連絡するの忘れるなんて、俺としたことが」と彼。
どうやら、彼は最初から私のことをご両親に紹介するつもりはなかったようです。
「婚約指輪もくれたじゃない!」「どうしてこんなにひどいことをするの!?」と言った私を、「あの指輪、ただのガラスのおもちゃだぞ?」と鼻でわらった彼。
「本当、見る目がないな……これだから母子家庭出身の貧乏人は」「あの本命婚約者は地元企業のご令嬢様だ。まさに俺にぴったりの相手!」「お前はただの都合の良い女だったってわけ。用済みだからこの町から出て行ってくれ」
ただ振られるだけだったらまだ良かったのに……。私の気持ちをもてあそんでおいて、さらに町からも追い出そうとするなんて……。私ははらわたが煮えくり返る思いでした。
「夢を見る方が悪いんだよ」「母子家庭の貧乏人なんて相手にするわけないじゃんw」とまで言われ、私は彼に対してすっかり興ざめ。「……わかった、帰るね」と告げて、
私は拳を握りしめ、くちびるを噛み締めながら、その場を離れたのでした。
義母の口止め料
その日の夜――。
「急に連絡してごめんなさい」と電話をしてきたのは、彼の母親でした。
「今日は息子のせいでこんなことになって……本当にごめんなさいね」「まさか息子が二股をかけてたなんて、私もびっくりで……」と謝られ、私は「いえ、お母さんが謝ることじゃありませんから……彼とは別れましたし」と言いました。
「あら、そうだったの!それなら話が早いわ!」と、一転して明るい声を出した彼の母親。
「実はお願いがあって連絡したの」「いくらか渡すから、このことは黙っておいてくれないかしら?」「母子家庭育ちだって聞いてるし、いろいろと大変でしょう」
彼の母親の言葉に、私はびっくり。お金なんてもらわなくても、言いふらすつもりはありません。それに、そもそも経済的にも困ってはいません。
「片親育ちの娘の言葉なんて信じられるわけないでしょう!?」と彼の母親。「最初はお金はいらないとか言っておいて、陰ですぐに週刊誌にネタを売りに行くんでしょ……なんてはしたない」「貧乏人の娘が優秀なわが家の一員になれるわけないんだから、お金を受け取っておとなしく引き下がりなさい」とまで言われ、私も堪忍袋の緒が切れました。
「私は言いふらしたりしませんし、お金だって要りません」「私から彼に連絡することもないので、安心してください」「もうこれ以上関わりたくないので、これで失礼します」
二股男の悲惨な末路
翌日――。
今一番話したくない人……つまり、元彼から電話がかかってきました。
「よう、元気か?」「昨日は焦って、お前にひどいことを言ってしまったんだ」「でもおかげで結婚の挨拶も終わったし、あとは入籍するだけ!」と明るく話す元彼に、私はため息をつきました。「俺なりにお前のことは愛してるんだ。お前だって本当は俺に未練があるんだろ?」
「落ち着いたら第2夫人にしてやるから待ってろよ!」
「生まれや育ちは悪いけどお前は顔と愛嬌がいいからな!」
「第2どころか、第1夫人もいないのに?」
「え?」
この期に及んで、そんな算段を立てているなんて……!と私が怒りを再燃させていました。この男はどこまで私を馬鹿にすれば気が済むのだろう……。そう思っていたところに、横から電話口に向かってかわいらしい声をかけた人物がいたのです。
「こんにちは、昨日はお疲れさまでした」「一応、今のところ本命の婚約者です」
元彼に話しかけたのは、正式な婚約者である社長令嬢。彼女は「昨日、彼が慌てて追い返したあなたのことが気になって……」と言って、すぐに私のことを調べ上げ、直接連絡してきたのです。
「私、堂々と二股をかけるような人と結婚する気はありませんので、婚約を破棄させてもらいます」「すでにこのことは父にも報告済みですし、慰謝料も請求しますから」
そして、彼女は「……こんな人と結婚しようとしていたなんて……。ギリギリ婚約破棄できて本当によかったわ」と言い捨てました。
その後――。
婚約は正式に破棄され、元彼は多額の慰謝料を請求されていました。元彼の父親は事情を知って、「お前が地元から出て行け!」と元彼を家から追い出したそうです。元婚約者の父親との関係をこれ以上に悪化させたくなかったのでしょう。
元彼も、その母親も私を責めるような連絡を何度もしてきました。元彼は「あなたがしでかしたことをしたためて、地元の回覧板にでも貼りつけて回しましょうか?」と言ったらおとなしくなりました。
しかし、その母親はあの手この手で私をおとしめようとしてきました。そこで、私は母の力を借りることに。実は、私の母親は地元で人気の華道家。その教室に、元彼の母親は通っていたのです。
私の母が家元であることを知ると、元彼の母親は「そ、そんな、あんなに品があって教養もある先生が……。あんたの母親だなんて……」「まさか、先生には伝えていないでしょうね……?」と震えていました。もちろん、私はすべて母に報告済み。母は「そんな人はお花に触る資格もないわね」とすぐに元彼の母親を教室から追放していました。
今回のことで、地元企業の社長令嬢と意気投合した私。彼女がお花に興味があるということで、私は母を紹介しました。そこから家族ぐるみの付き合いが始まり、今では月に1回ほどみんなで食事に行く仲です。失ったものもありましたが、かけがえのない友人を手に入れられてよかったと思っています。
【取材時期:2024年11月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。