そのメッセージを送ってくるのは、彼の幼馴染の女性でした。
はじめは「私たち、生まれたときから一緒なんで、お互いの友だちや恋人の連絡先も教え合ってるんです!」と言って連絡してきたのですが……?
マウントを取りたがる幼馴染
「彼が好きなのって私みたいなロングヘアのかわいい系の女の子で……。あ、でもあなたはショートカットの綺麗系で真逆でしたね、ごめんなさい」「毎年誕生日は一緒に過ごしてて、もはや家族みたいなものなんです」「彼、あなたの茄子料理も食べてくれてます?私が料理教室通ってたくさん茄子料理食べさせてから食べられるようにはなったみたいなんですけど~」
毎日のように連絡してくる幼馴染。「あなたより彼のことを知ってるのよ」と言いたいのがものすごく伝わってきて、とても不快でした。
彼の実家に引っ越した当日も、「お手伝いに来ました~」と言って、やってきた彼女。結局何ひとつ手伝わず、ただただ彼にベタベタしているだけでした。時たま、私にはわからない昔話をして、私をのけ者にする始末。彼も彼で、まんざらでもなさそうだったので、余計に腹が立ちました。
子どものころの約束
彼の実家に引っ越して3日後――。
仕事が休みで家にいた私は、仕事中の彼に「来週の資源回収で、段ボールを全部出しちゃっていい?」と連絡しました。すると、彼は「そのことなんだけど……。開けてない荷物はそのままにしておいてくれないか?」「また引っ越しが必要になるだろうから」と言い出したのです。
私が「どういうこと?」と聞くと、「小さいころにある女の子と『大きくなったら結婚する』って約束をしてて……」「そいつとは今でも仲良くて、一緒にいると癒されるし楽しいし、やっぱり俺が結婚する相手はその子じゃないとダメだって思ったんだ」と語り出した彼。
「もしかして、あの幼馴染の彼女のこと……?」とおそるおそる尋ねてみると、「やっぱり、気づいてたよな」と彼。悪びれる様子もありません。
「あいつとは中学くらいから付き合って別れてを繰り返してて……」「実家に帰ってきてまた毎日顔を合わすようになって、今も俺は彼女を愛してるってことに気づいたんだ」
私は彼と結婚するために、彼の実家で同居することまで承諾したのに……と、彼の言葉にあ然としていると彼は続けました。
「俺だってつらいんだ!お前を裏切ることは!でも、どうしても諦められない!」
「やっぱり彼女と結婚する!悪いが離婚してくれ!」
「よかった~」
「え?」
私の返信に驚いた様子の彼。
「私が何を言ってももう無駄でしょう?2人のことは気付いていたからちょうどよかったわ」「私は今夜中に自分の荷物をまとめて出て行くから、あなたはどこか別のところにいてくれない?」と言うと、彼は「ちょうど今日から彼女の両親が旅行で家を空けるからさみしいって言ってたし……。お言葉に甘えて、彼女のところに行くよ」とそそくさと出て行ったのでした。
熱く燃え上がった恋の結末
翌日――。
「本当に昨日のうちに出て行ってくれたんだな、ありがとう!」「離婚届にサインして送ってくれたら、こっちで出しておくよ」と元彼から連絡が来ました。
「俺のほうが給料も低かったし、短い間とはいえこっちに引っ越してきてもらったし……。申し訳ないから財産分与は半分じゃなくてもいいよ」と、一応私に気を遣っているつもりらしい元彼。そこで、私は真実を教えてあげることにしました。
「なんで財産分与する必要があるの?そもそも結婚すらしていないのに」「あなたの実家で同居はしていたけど、あなたはまだ正式な夫になってないわ」
結婚式をしないことにした私たちは、入籍日も決めていませんでした。とりあえずお互いに婚姻届にサインはしましたが、その婚姻届は今も私の手元に。引っ越しの手続きが落ち着いたら提出しようと話していたのに……。元彼はそのことすらも覚えていなかったのです。私の方は幼馴染の存在と彼女に対する元彼の態度が引っ掛かり、元彼への愛情が冷めていっているのを感じていたところだったのです。
「ただの婚約破棄だし、有責側であるあなたたちが私に慰謝料を払うのよ?」「あと、あなたの実家に引っ越したときと私が出て行ったとき、2回分の引っ越し費用も請求するわね」と言うと、「ちょっと待てよ!そんなの聞いてない!」と元彼は叫んでいました。
「私のほうは、あとはすべて弁護士さんにお願いするから」「もちろん、あなただけじゃなく、幼馴染の彼女にも慰謝料を請求するからね」
その後――。
私は弁護士を通じて、元彼とその幼馴染に慰謝料を請求。幼馴染にはエリート商社マンの本命の婚約者がいたようで、その婚約も破談に。元彼は幼馴染に本気だったようですが、幼馴染は元彼のことを遊びとしか思っていなかったようです。
事の次第を知った元彼のご両親は、元彼に絶縁宣言。元彼のご両親はとてもいい人たちで、「もし息子がまたあなたに何かしたらいつでも言ってくれ、絶対に守るから」と言ってくれました。家族になれなかったことが残念でなりません。また、幼馴染の両親も、娘を実家から追い出したそうです。
私は半年かけて、元彼とその幼馴染から慰謝料を回収しました。今は優雅にお一人様生活を満喫しています。仕事の繁忙期が終わったら、慰謝料を使って南の島でのバカンスを考えています。
【取材時期:2024年11月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。