頑張った息子へのご褒美
治療の最中、何度も大粒の涙を流しながらも「頑張る」と口にし、決してリタイアしなかった息子。その健気な姿と成長ぶりに、私は親として胸がいっぱいになりました。
無事に治療を終えたあと、「本当によく頑張ったね! 偉かったから、自販機で好きなジュースを買っていいよ!」と伝えると、息子はパッと表情を輝かせました。
病院をあとにしながら、「頑張ったからジュース!」とすっかりご機嫌な様子の息子。そのすぐ後ろには、息子と同じくらいの年齢の子を連れた親子が歩いていました。
「買う、買わない」でピリついた空気に…
病院を出てすぐの自販機前で立ち止まり、息子とジュースを選んでいたときです。後ろにいた男の子が、わが家の様子を見て「ぼくもジュース……」とポツリ。すると、その子のママが「買わないよ」と即座に拒否し、連れて行こうとしました。しかし男の子は「ぼくも頑張ったもん!」とママに食い下がります。
申し訳なさを感じつつ、そっと後ろを振り返ると、相手の母親はかなりのイライラを隠せない表情。背後で「買わない!」「買って!」という激しい攻防が繰り広げられるなか、私はいたたまれない気持ちでジュースを購入しました。
すると、取り出し口からジュースを取ろうとしたその瞬間。
背後から、小さな声で「余計なことして……めんどくさい、どうすんだよ……」という冷ややかな言葉と、舌打ちが聞こえてきたのです。
突き刺さる言葉と視線…親としての配慮とは
車に戻る際、あまりの申し訳なさに、私は思わず小声で「すみません……」と口にしました。しかし、その母親は私をキッと睨みつけ、再び舌打ち。結局、男の子は「買ってよー!」と激しく泣き叫び、引きずられるようにして帰っていきました。
見ず知らずの人から向けられた攻撃的な言葉や舌打ちには、正直とても驚きました。しかし同時に、「私の言動に配慮が足りなかったかもしれない……」という反省も芽生えました。もしあのママが、日々の育児で心身ともに疲れ切っていたとしたら、他人の何気ない行動がきっかけで始まるわがままは、相当なストレスだっただろうと想像したからです。
今回は息子への正当なご褒美として購入しましたが、公共の場では「自分の子を甘やかす場面が、周囲にどう影響するか」を、より慎重に考えるべきだと痛感した出来事でした。
著者:山口花/女性・ライター。2017年生まれの女の子と、2021年生まれの男の子のママ。夫の地元で個性的な人たちに囲まれながら育児しつつ、教育系ライターとして活動中。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年1月)
※AI生成画像を使用しています