妊娠中のGBS検査とは?赤ちゃんへのGBS感染の予防方法は!?

2018/11/12 19:00
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この記事ではGBS検査とB群溶血性レンサ球菌について、医師監修のもと、解説します。出産の時期が近づいてきた段階の妊娠35~37週の妊婦健診の時に、GBS検査を行います。検査の結果、GBS陽性と判定されたら、お産の陣痛が開始した時か破水が起きた時に、赤ちゃんへの感染予防のため抗生物質の点滴を行います。
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妊婦健診(妊婦健康診査)

GBS陽性判定に悩む妊婦さんのイメージ

 

妊娠後期になるとB群溶血性レンサ球菌が膣にいるかどうかの検査が行われます。これは、膣や肛門から採取され、GBS検査と呼ばれています。GBS(B群溶血性レンサ球菌)を保有しているとお母さんや赤ちゃんにどのような影響があるのでしょうか。今回はB群溶血性レンサ球菌とは何か、原因や症状、感染予防について解説します。

 

GBS(B群溶血性レンサ球菌)とは?

GBS(Group B Streptococcus)はB群溶連菌のことです。 だれでも保有している可能性がある常在菌のひとつで、消化管、膀胱、膣などにいます。妊娠する年代の女性を調べてみると10%から30%でGBSが検出されます。通常お母さんや赤ちゃんの身体に存在(保菌)しても特に健康状態を侵すような菌ではありません。しかし、非常に稀に(500回から1500回に一回くらいの頻度で)産まれた赤ちゃんに感染症を起こすことが報告されています。

 

GBSにより敗血症や髄膜炎を引き起こし治療が必要になることがあります。発症すると急速に悪化しやすいことから、現在では全ての妊婦さんに対してGBS検査を行うことが推奨されています。

 

赤ちゃんに起こるGBS感染症とは?

赤ちゃんのGBS感染症は、お産で赤ちゃんが産道を通過するときに、お母さんの産道付近にいるGBSが赤ちゃんに付着し鼻や口、喉から体内へ移行して発生すると考えらえています。肺炎や敗血症(血液中にGBSが入り全身を巡って症状を起こす)、髄膜炎(髄膜に感染して脳炎を起こす)を発症します。


GBS感染症の診断は、発症初期には非常に難しいのが現状です。他の感染症と比べてGBSに特有の症状というものはありません。発症初期にみられる症状としては発熱、呼吸困難や、呼吸回数の異常、嘔吐する、ミルクを飲む力の低下、痙攣などの症状もありますが、その一方でなんとなく元気がないというだけだったり、はっきりした症状がない場合もあります。しかし発症してからは症状の進行が速いので検査によってGBS感染症が疑われた場合は直ちに治療が必要です。

 

赤ちゃんに起こるGBS感染症には、早発型と遅発型があります。生後6日までに発症するものを「早発型」と呼び、それ以降に発症するものは「遅発型」とされます。

早発型は分娩時の感染によるもので、遅発型は分娩時による感染だけでなく赤ちゃんに関わる周囲の人間から感染する水平感染と考えられています。早発型のGBS感染した赤ちゃんの4分の1が早産の赤ちゃんに起こります。


妊娠中に行われるGBS検査とは?

出産の時期が近づいてきた段階の妊娠35~37週の妊婦健診の時に、GBS検査を行います。GBS検査は、妊婦健診のときに公費負担で受けられる検査のひとつです。

 

検査用の綿棒で、膣や肛門から検体をとって、培養検査でGBSの有無を確認します。検査結果は大体1週間程度で判明します。妊娠初期や中期に検査をして、GBS陽性(保菌者)であったとしてもお腹の中に赤ちゃんがいる間はお母さんからお腹の中の赤ちゃんへ感染はしないため、妊婦さんに対して特別な治療は行いません。改めて後期に検査を行い、その結果を最終判断とします。

 

妊婦さんがGBS陽性の場合の赤ちゃんへの感染予防について

検査の結果、GBS陽性と判定されたら、お産の陣痛が開始した時か破水が起きた時に、赤ちゃんへの感染予防のため抗生物質の点滴を行います。それ以前のタイミングで抗生物質を使っても、常在菌であるGBSは出産までの間に再び産道に出現してくる可能性があるため、最も有効な感染を予防できるタイミングが、このお産の前の時期であると現時点では考えられています。

 

検査の結果がGBS陰性でも前回出産した赤ちゃんがGBS感染症だったケースや、GBSの保菌状態が不明(例:検査結果がまだ明らかでない、検査していない)の状態で、破水後18時間以上経過したとき、あるいはお母さんが38℃以上に発熱した時には、感染予防のため抗生物質を使います。


GBS感染症は抗生物質で有効に予防できるため、感染の症状がなければGBS陽性であることだけを理由に帝王切開術はされません。帝王切開術を受けて出産する妊婦さんには、通常予防的に抗生物質が使われるので感染予防の対応は不要です。抗生物質はペニシリン系が使用されます。この抗菌薬は、分娩を終えるまで4時間毎に繰り返します。ペニシリン系の薬剤にアレルギーがあるお母さんへは、別の抗菌薬が投与されます。 

 

産後のお母さんや赤ちゃんにもGBSを気にした方がいいの?

経腟分娩の際に、適切な抗菌薬投与を行ったときや、産まれた赤ちゃんに感染した症状がなければ、特別な検査や治療は行いません。お母さんがGBS陽性の場合でも、お母さんから赤ちゃんへ母乳を与えることに制限はありません。母乳中には赤ちゃんに必要な栄養や免疫が含まれているので、GBS陽性だったことだけを理由に母乳栄養をあきらめたり、やめたりする必要はありません。


常在菌であるGBSは、通常は健康を侵すような菌ではありませんが、早く生まれた抵抗力の弱い赤ちゃんが感染症を発症すると重症化するケースはありますので、搾乳をするお母さんや搾乳を赤ちゃんへ与える人(お母さんやお父さん、ご家族や医療スタッフなど)が、搾乳を扱う前後に手洗いをすることは大切です。

 

まとめ

GBSは健康な人にも普通に見つかってくる常在菌と呼ばれる、ありふれた細菌です。通常それによって影響を受けることはありませんが、感染症となって発症した場合には、赤ちゃんの生命やその後の健康状態に影響を及ぼすことがあるため、感染を予防することはとても重要です。GBSについて心配や不安なことがあれば、産婦人科医や助産師へ相談しましょう。

 


監修者:あんずクリニック産婦人科院長  川島 正久 先生

静岡県磐田市生まれ。平成5年神戸大学医学部卒業、神戸市立中央市民病院/淀川キリスト教病院、磐田市立病院に勤務の後2011年にあんずクリニック産婦人科を開業「お産を通して人々に喜びを与える」をモットーに地域の人々のお役に立てるよう励んでいます。

 

※参考:日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン-産科編2017」、日本助産師会「助産業務ガイドライン2014」(2019年改訂予定)、『母乳 育児 感染』(南山堂)


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