毎年11月は「生命保険の月」でもあり、かつてよりは影響が薄いもの保険会社や保険代理店等が販売を強化することがあります。そのため、普段より勧誘が多いため、FPである私へのご相談も多くなる時期です。
話を伺うと、勧誘の内容が曖昧であったり不適切な説明であったりすることも少なくありません。そのため今回は生命保険の勧誘や見直しに対してのポイントをお伝えします。
1.キャンペーンと言っても割引になるわけではない
生命保険は法律で特定の人や時期に割引することができません。月払いを年払いにすることや、タバコを吸わない人は吸う人に比べて保険料が割安になることはありますが、これは条件に当てはまれば対象者全員が割安の保険料となるので、特定の人や時期に割引することとは異なります。
また、同じ保険会社の同じ生命保険であれば、保険外交員から加入しても代理店から加入しても銀行から加入しても原則同じ保険料となります。
なお、キャンペーンといっても保険会社や代理店の販売促進の要素が強く、消費者側のメリットは粗品や抽選でのプレゼント程度しかないことが多いため慌ててキャンペーン時期に加入する必要性は低いと思われます。
2.現在加入している保険は本人が希望しない限り解約にならない
この時期によくある話として、現在加入している保険会社の担当者などから「現在加入している保険から新しい保険に変更しませんか?」と提案されることがあります。加入している人の理解不足の場合もありますが、説明がしっかりしていないためか、「現在保険が継続できないので新しい保険にしましょう!」という話になることも少なくありません。
しかし、保険期間中(保険の有効期間中)であれば、本人の手続きなしに保険が継続できないということはありません。現在加入している保険を継続されない場合は主に以下の3点の場合です。
①契約者本人が解約の手続きをする場合
②現在加入中の保険が満期を迎える場合(更新できる場合は除く)
③保険料を期日までに納入しない場合
そのため、保険料を期日までに納入しない場合以外には、保険会社から一方的に本人の意思と関係なく生命保険が継続できないということはありませんので、前提として覚えておきましょう。
3.保険の見直すタイミングは主に3つ
生命保険の見直しは、保険会社等のキャンペーンや営業面からする必要はありません。生命保険を見直すタイミングは、主に3つあります。
①結婚、出産、住宅購入などライフプランの変化があるとき
②現在加入の生命保険の満期・更新時期を迎えるとき
③新しい生命保険商品が販売されたとき
①のケースであれば、ご自身やご家族に変化のあるときですので、どのような保険が必要かイメージできると思いますが、②③のケースは保険会社が主体ですので、判断をしにくいことがあります。保険料が安くなり保障内容も充実すれば新しい保険にする理由となりますが、保険料が高くなる場合や必要な保障か判断のつかない場合は判断に迷うこともあると思います。その場合は、現在の保険と新しい保険の変更点をしっかりと確認し、比較することが大切です。場合によっては、別の保険会社の商品との比較をしたり、ファイナンシャルプランナーと相談したりすることをおすすめします。
なお、貯蓄性の高い終身保険、養老保険、個人年金等は現在改めて加入するより、過去の保険を継続する方が予定利率は高い方がほとんどです。そのため、貯蓄性の高い保険に加入している場合には保険料の支払いに問題がなくライフプランに沿ったものであれば、継続するといいでしょう。
以前に比べて強引な営業は減っていると思いますが、保険を販売する側の説明不足と加入者の理解不足で誤解が生じているケースは少なくありません。新しい提案を受けてもそのまま変更するのではなく、本当に必要な保険なのかしっかり考えた上で継続するか加入するか判断をしましょう。また、虚偽の説明やしつこい勧誘があった場合は、保険会社や代理店の窓口だけでなく、最寄りの消費者生活センターや生命保険協会が設置する生命保険相談所での相談や苦情の連絡をすることもあわせて覚えておいてください。
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等、多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。