もし陣痛が起こる前に破水したら?前期破水について原因や対処法を解説!

2018/11/28 19:00
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この記事では前期破水について、医師監修のもと解説します。破水後は子宮内の感染を起こしやすく、早期に分娩になりやすい状態です。破水に気が付いたら、シャワーやお風呂に入らずに清潔なナプキンをつけて、できるだけ早く出産予定の産婦人科へ連絡しましょう。
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妊婦健診(妊婦健康診査)

前期破水がおこった妊婦さんのイメージ

 

妊婦さんであれば、破水という言葉は聞いたことがあるのではないでしょうか。破水とは赤ちゃんを包んでいた卵膜が破れ、羊水が流れる状態。通常は陣痛が始まり、子宮口が全開大になってから起こります。


けれど陣痛が起こるより前に破水してしまうことがあります。これが「前期破水」というものです。お腹にいる赤ちゃんへの感染のリスクが上がるなど、早く分娩を開始する必要があります。どの妊婦さんにも起こる可能性があるので、知っておくと自分が前期破水になった時に役立つこともあるかもしれません。今回は前期破水の原因や予防方法、出産のリスクなどについてお話していきます。

 

前期破水とは?

前期破水は、赤ちゃんや羊水を包んでいる卵膜が、陣痛が起こる前に破れてしまうことです。通常の破水は出産の時に起こりますが、いくつかの原因によって陣痛が起こる前に破水が起こってしまいます。妊娠期のいつでも起こる可能性はあるのですが、特に妊娠37週以降の妊婦さんは、前期破水を起こす確率が高くなっています。


前期破水が起こる原因としては、卵膜の異常と子宮の内圧が急激に高くなることがあげられます。卵膜の異常は、腟などから感染源が子宮内に侵入して炎症が起こり、卵膜がもろくなって破水しやすい状態になっています。子宮の内圧が高くなる理由は、妊娠によって継続的に子宮の内圧が高くなっていることが主な理由です。まれに咳などで急激に腹圧が加わると、内圧が急激に高まり、卵膜が破れて破水します。また、羊水が多い場合や子宮に奇形がある、多胎を妊娠していることからも起こります。


まれに羊水中の物質をもとに染色体や遺伝子異常を検査する羊水穿刺(ようすいせんし:注射針に似た針を刺して羊水を吸引すること)をする検査でも、卵膜に傷がついてしまい、前期破水の原因になることがあります。そのため、羊水穿刺の検査を希望する際には、医師からリスクに関する説明を受けて決めましょう。

 

前期破水が起こると何が大変なの?

前期破水が起こると、赤ちゃんの周りを包んでいる羊水が子宮の外に流れ出てしまいます。羊水の量が少なくなると、子宮の壁がお腹にいる赤ちゃんを圧迫するようになり、心拍が低下する恐れがあります。また、羊水の流出が少なくても、卵膜が破損している状態が続くと、子宮内に感染を起こしやすくなり、お母さんに発熱や脈が速くなること、子宮を押さえたときに痛みが生じるなどの症状がでます。

 

前期破水が起こることで、分娩前にへその緒が子宮から出てきたり、胎盤が子宮から剥がれてしまう危険性もあります。その場合は、母子共に命の危険があるため、緊急帝王切開となることもあります。

 

妊娠37週以降の前期破水の場合は、約80%の人が24時間以内に陣痛が起こります。陣痛が始まらないときや微弱陣痛のときは陣痛を誘発させます。妊娠37週未満では、週数によって対応が異なります。妊娠32週未満では、子宮の外に出ても自分で呼吸することが難しいため、出来るだけ妊娠を継続させる必要があるので、陣痛が起きないように子宮の収縮を抑える薬を使います。妊娠34週未満では、お腹の赤ちゃんの肺の成熟を促すためにコルチコステロイドという薬をお母さんに与えます。そして、感染予防をしつつ、陣痛を誘発していきます。

 

また、妊娠を継続する上で大切なのが感染予防です。通常、妊娠中は抗生剤を予防的に投与することはほとんどありません。しかし、子宮内への感染のリスクが高い前期破水では、抗生剤を予防的に投与していきます。検査や症状から感染したことが分かれば、陣痛を誘発させて分娩を促進させ、お腹の赤ちゃんを子宮の外に出すことが必要です。お腹の赤ちゃんの心拍を確認するモニターで元気がない時には、お母さんの体の向きを変えたり、腟から管を挿入して羊水に似た成分の液体を注入する処置もあります。子宮内への感染の状態にもよりますが、前期破水によって分娩に至ったとしても、赤ちゃんの成長や発達は良好であることが多いです。


前期破水が起こったらどうすればいい?予防することはできる?

破水後は子宮内の感染を起こしやすく、早期に分娩になりやすい状態です。破水に気が付いたら、シャワーやお風呂に入らずに清潔なナプキンをつけて、できるだけ早く出産予定の産婦人科へ連絡しましょう。また、できるだけ起こさないことが重要です。妊婦さんが生活面で予防できるのは「感染予防」と「子宮内圧が急激に高くなるのを防ぐ」この2つです。

 

感染予防

腟からの感染症を防ぐためには、性器周辺を清潔にしましょう。入浴時に毎日石鹸で洗い、しっかりと水分をふき取り、吸収性の高い下着を使います。妊娠するとおりものが多くなるので、トイレの際にはビデ機能で陰部を洗浄し、おりもの用シートを使うのも良いでしょう。


性行為においては、コンドームを使うことで、腟や子宮頸管(しきゅうけいかん)の炎症を予防することができます。

 

子宮内圧が高くなることを防ぐ

咳やくしゃみなど、お腹に力が入ると子宮内の圧が高くなります。咳やくしゃみの際にはお腹に力が入らないように意識しましょう。その他に、重いものを持ち上げたり、お腹に衝撃が加わる運動も避けた方が良いです。重いものは分割して運び、負担のない軽い運動をするようにしましょう。長時間同じ姿勢でいることも腹圧がかかる原因になるので、1〜2時間おきには姿勢を変えるように心がけましょう。


性行為で破水することもあるので、腹圧がかからないよう体位を工夫することも大切です。必ずコンドームを使い、挿入は浅く、短時間で行うなど、パートナーにも協力してもらうようにしましょう。

 

次の妊娠・出産への影響はある?

前期破水が起こっても、次の妊娠に影響する報告はありません。出産に関しても同じです。すでに説明した通り、子宮内感染や子宮内圧の上昇によって起こるので、次回また起こる可能性はあります。しかし、前回の妊娠で前期破水をしたからといって、次の出産も起こるということではないのです。

 

まとめ

前期破水は誰にでも起こりうる現象で、妊娠37週を過ぎていれば、そのまま出産となります。妊娠週数によっては、妊娠を継続するために必要な治療を受け、長い入院生活になることもあります。そのため、破水が起こった時は、感染どちらも早めにかかりつけの産婦人科に相談しましょう。

 


※参考

・日本産婦人科学会/8)前期破水/(1)定義.(2)原因.(3)発生機序.(4)分類.(5)頻度(6)症状~(11)予後

・日本産婦人科学会/研修医のための必修知識/c.産科疾患の診断・治療・管理/13.産科感染症の診断と治療/予防

・日本産婦人科学会/研修医のための必修知識/c.産科疾患の診断・治療・管理/13.産科感染症の診断と治療/治療

・日産婦誌54巻/Preterm PROMー現状と問題点1)診断と管理/Preterm PROM後の管理/5)羊水現象に対する管理
・『六訂版 家庭医学大全科』(法研)

・前期破水 - 22. 女性の健康上の問題 - MSDマニュアル家庭版〈 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/22-女性の健康上の問題/陣痛・分娩の合併症/前期破水

・msd家庭用マニュアル/22.女性の健康上の問題/膣感染症/予防〈 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/22-女性の健康上の問題/腟感染症と骨盤内炎症性疾患/腟感染症の概要

 

監修者

医師 浅川 恭行 先生

産婦人科 | 医療法人 晧慈会 浅川産婦人科 理事長


1993年 東邦大学医学部卒業、1999年 東邦大学大学院医学研究科博士課程修了。浅川産婦人科の院長を務めるほか、日本産婦人科医会 幹事、東邦大学医療センター大橋病院 産婦人科学講座 客員講師、鶴見大学歯学部 産婦人科学講座 非常勤講師として活躍。

 

HP:医療法人 晧慈会 浅川産婦人科


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