ライフプランニングや家計の相談をさせていただいていると、ときどき「夫が定年退職を迎えても子どもがまだ学生である可能性が高いのですが、どうすればいいですか?」とご質問されることがあります。
実際に平均初婚年齢は高くなる傾向にあり、2014年の統計では、男性31.1歳、女性29.4歳となっています。子育てとリタイヤ後の生活準備を両立できるようにするための3つのポイントをお話します。
1.教育費とリタイヤ後資金の準備を同時進行に
子どもが社会人になってから定年退職を迎える人は、子どもにかかっていた学費や生活費の大部分を老後資金の準備にあてることができますが、子どもが社会人になる前に定年退職を迎える人は、その準備期間がありません。そのため、教育費とは別に老後資金の準備を始める必要があります。
預金だけでなく、個人年金保険や株式・投資信託などの資産運用、個人型確定拠出年金などの方法も検討して、効率的に準備を始めましょう。老後に必要な貯蓄額はさまざま情報がありますが、60歳~64歳の公的年金の出ない期間の生活費と65歳以降の公的年金の額と生活費の差額を合計したものがひとつの目安となります。
2.固定費をスリム化する
以前のコラムでもお話した内容ですが、住宅ローン、光熱費、通信費、保険料などは一度設定してしまうとそのままになりやすい項目ですが、マイナス金利や電力自由化、格安携帯・スマホの普及など新しい料金体系や制度がこのところ変化がある項目でもあります。
現在の内容と新たな内容を比較し、最適なものを選択して固定費をスリム化できると、浮いた金額は上記の老後準備資金にあてることができます。
3.雇用延長やパート等での仕事も検討を
現在では60歳を定年退職とする勤務先は多いですが、“高年齢者等の雇用の安定等に関する法律”の改正により、定年退職年齢や雇用延長年齢の引き上げが始まっているので、現在よりも退職する時期が遅くなる人が多くなります。
また、同じ勤務先でなくても働く方も多く、2013年の統計では60歳~64歳の就業率は58.9%でした。60歳以降も働ける人は継続して働く選択をするのも老後資金準備の一助となります。
今できることと将来できることを想定し行動すれば、悠々自適とはならないまでも、不安なまま老後を迎える心配ごとは減ると思います。子育てで忙しい時期と思いますが、ご自身のためにも、子どものためにも、とくに子どもが社会人になる前に定年退職を迎える人は、上記の3点を踏まえて家計を考える機会をつくるといいでしょう。
1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP。独立系FP事務所・株式会社とし生活設計取締役。教育費・老後資金準備、税や社会保障、住宅ローンや保険の見直し、貯蓄・資産運用等、多角的にライフプランの個別相談を行うとともにセミナー講師として活動しています。