赤ちゃんを授かると、安産祈願に行く方も多いかと思います。ですが、安産祈願の際の費用や服装、流れなどはどのようになっているのでしょうか。そこで、今回は神社でおこなう安産祈願の基本的な情報をご紹介します。
安産祈願とは
安産祈願は妊娠5カ月目に入った最初の戌の日に、妊婦さんが神社やお寺をお参りして腹帯を巻き、安産をお願いするものです。戌の日に安産を祈願するようになったのは、犬はお産が軽く、安産、多産であるので、それにあやかっているようです。
安産祈願のときに身に着ける腹帯は、岩田帯を使うのが主流となっています。腹帯はご祈祷してもらう神社で購入したものに限るというところも最近では珍しくありません。腹帯を持参していく場合は、事前に確認しておきましょう。
安産祈願は、妊娠5カ月目の最初の戌の日に必ず行わなければならないというわけではありません。妊婦さんの体調やご家族のスケジュールなども考慮して、日程を決めましょう。
神社での安産祈願の流れ
安産祈願は全国の神社でおこなっていて、基本的に予約は必要ありません。ですが、安産祈願で有名な神社や戌の日と祝日が重なったりすると混雑が予想され、妊婦さんが疲れてしまうといったことも考えられるので、いつ、どこに、誰と行くのか、よく相談してからのほうが安心です。
ここでは、神社で行う安産祈願の流れを紹介します。
1.社務所で受付を済ませ、初穂料(はつほりょう)を納めます
2.待合室などで順番を待ち、順番が来たら本殿で移動します
3.本殿でご祈祷を受けます。この際、複数組でご祈祷を受けることもあります
4.ご祈祷が終わると、安産祈願にいわれのあるものをいただいて終了になります
神社で安産祈願をする際の費用
昔、人々は神様に祈りを捧げるための儀式の際、農作物を供物として奉納してきました。このとき、奉納される供物のうち、その年の一番最初に収穫できた農作物のことを「初穂」と呼んでいました。現代においては、初穂の代わりとして納めるお金を初穂料と呼んでいます。
初穂料の金額の相場は、3,000円~1万円となっていますが、神社によって異なります。神社によっては金額が決まっているところもありますので、事前に確認しておくと安心です。
初穂料を納める時は、のし袋に入れて表書きをした状態で持っていくようにしましょう。水引は紅白の蝶結びのもので、表書きには「御初穂料」と書いておけば心配ありません。
神社で安産祈願をする際の服装
格式のある安産祈願だからこそ、何を着ていけば良いのだろうと悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。大事な大事な安産祈願ということもあり、正装で行くべきであると考えている人もいらっしゃるかもしれませんが、普段の服装で大丈夫だと言われています。
基本的には妊婦さんと胎児の安全を優先した楽な恰好が妥当です。とはいっても、やはり神様に安産をお願いしに行くので、普段着選びにも最低限のマナーが必要となってきます。
肌を広範囲に露出したものや派手な色合いのものは、神聖な場所には相応しくありません。 また、ボトムスや靴でも、ジーンズや煌びやかな色や素材のものは、できるだけ避けましょう。お参り当日は移動する機会が増えてきます。妊婦さんが腰をかがむことなく、脱いだり履いたりするのが楽な靴が最適です。
安産祈願で有名なスポット(神社篇)
安産祈願で有名な神社をいくつか紹介します。
<関東 東京>
●日枝神社
住所)東京都千代田区永田町2丁目10番5号
電話)03-3581-2471
Webサイト)http://www.hiejinja.net/
江戸時代、徳川家が祈祷されていた神社です。日枝神社の神様のお使いは猿で、「まさる(魔が去る)」と親しまれ、犬とともに安産の動物として、これにあやかる信仰があります。 授与品の中には、赤ちゃん猿を抱っこした夫婦の猿を模ったまさる守土鈴(初穂料 1,500円)があります。
●水天宮
住所)東京都中央区日本橋浜町2-30-3
電話)03-3666-7195
Webサイト)http://www.suitengu.or.jp/
安産祈願、子宝で長らく親しまれてきた神社です。福岡県の水天宮の分社となっており、安産祈願では最も有名です。こちらで販売されている岩田帯は「御子守帯」といって、昔ながらの生成りの木綿の帯で作られています。妊婦さんが腹帯を持参した場合でも「御子守帯の小布」と呼ばれるものを頂けて、自分の腹帯に縫い付けたり、持ち歩いたりすることができるようになっています。腹帯と一緒にいただける護符は、陣痛で辛い時に水で飲むと出産が楽になると言い伝えられています。
<関西 大阪>
●住吉大社
住所)大阪府大阪市住吉区住吉 2丁目 9-89
電話)06-6672-0753
Webサイト)http://www.sumiyoshitaisha.net/
こちらの第4本宮に祭られている神功皇后がその昔、身籠ったまま出陣し、帰ってきたときに応神天皇を出産したといわれています。お参りの後、誕生石の柵の中の小石を拾って腹帯に挟んでおくと安産となるという言い伝えもあり、毎年多くの安産祈願に訪れる妊婦さんでにぎわっています。
<関西 京都>
●梅宮大社
住所)京都市右京区梅津フケノ川町30
電話)075-861-2730
Webサイト)http://www.umenomiya.or.jp/
こちらでは日本をつくった最初の神様といわれている天照大神の系譜を祭った神社となっています。昔、木花咲耶姫命が火に囲まれながら出産したことにあやかって、安産祈願の信仰となりました。
<中国地方 島根>
●安子神社
住所)島根県出雲市湖陵町常楽寺757
電話)0853-43-1492
Webサイト)http://www.akojinja.jp/
安産と子授けの神が祀られた神社です。皇室との縁も深く、大正天皇皇后、昭和天皇皇后、今上天皇皇后、皇太子妃殿下皇后がご懐妊の際、宮司が御札を宮内庁に納められたそうです。
<九州地方 福岡>
●宇美八幡宮
住所)福岡県糟屋郡宇美町宇美一丁目1番1号
電話)092-932-0044
Webサイト)http://www.umi-hachimangu.or.jp/
宇美八幡宮は安産にまつわる伝説の地として、福岡県指定文化財に指定されている有名な場所です。昔のお話ですが、古事記には神功皇后がこの地で応神天皇をご出産されたと書かれており、そのころからの由緒正しいお寺となっています。樹齢二千年以上のくすの木も国指定天然記念物になっています。
まとめ
安産祈願の際、必ずご祈祷を受けなければならないということではありません。ご祈祷を受けない場合は、普段のお参りと同様に安産を祈願するだけでも十分です。妊婦さんの体調が悪いときなどは決して無理をせず、良いタイミングを見計らって参拝するようにしましょう。おなかの赤ちゃんが無事に生まれてくれるように、みんなで心を込めて祈願できますように。