近年日本で増えてきている低出生体重児。その先進国の中でトップクラスと言われています。低出生体重児ってどのくらい小さい赤ちゃんのこと? どうして増えてきているの? 小さく生まれる赤ちゃんのリスクや妊娠中に予防できることってあるの? 今回は低出生体重児について、妊娠中にできる予防策を含めてお話しします。
低出生体重児とは?
生まれたときの体重が2,500g未満の赤ちゃんを「低出生体重児」と呼びます。さらにその中でも1,500g未満の赤ちゃんを「極低出生体重児」、1,000g未満の赤ちゃんを「超低出生体重児」と呼びます。日本では出生数が減少してきているものの、低出生体重児の数は増加しています。出生数全体における低出生体重児の割合は、30年前は出生数の5%でしたが、2013年には9.6%にまで増加しています。これは、世界平均の6.8%と比較してもとても高く、先進国の中ではトップクラスといわれています。(※)
不妊治療による双子や三つ子など多胎児が増えたことや、新生児医療の進歩によって、超低出生体重児の赤ちゃんも救えるようになったことが増加している大きな原因として考えられています。また、低出生体重児は、早産児(妊娠22週以降37週未満に出生した児)と正期産児(妊娠37週以降に出生した児)に分類されます。つまり、早産のために小さく生まれた赤ちゃんと、子宮内での赤ちゃんの体重増加が少なく正期産で小さく生まれた赤ちゃんとに分けられるということです。
子宮内での赤ちゃんの体重増加が少ない要因には、先天性の疾患などの赤ちゃん側の要因や妊娠高血圧症候群などママ側の要因があります。また、極端な体重制限や喫煙や飲酒のリスク、ストレスフルな環境も要因に挙げられています。
低出生体重児のリスク
小さく生まれた赤ちゃんはさまざまな機能が未熟です。
早産児の場合だと、循環や呼吸機能が未熟、皮膚構造の未熟さや皮下脂肪の少なさから体温調節機能が未熟、免疫機能が未熟で感染を起こしやいなどのリスクがあります。
正期産で小さく生まれた赤ちゃんの場合、機能的な面では早産児よりも成熟しているところは多くあります。ただ、生まれてすぐは低血糖になりやすい、呼吸状態が不安定になりやすいという点や、皮下脂肪の少なさから低体温になりやすい、黄疸が出やすいというリスクもあります。また、授乳の時間になってもなかなか起きない、授乳中も眠りがちなことから、なかなか哺乳が進まないということもあるでしょう。また、乳幼児突然死症候群(SIDS)の発症のリスクも高いと言われています。
低出生体重児にならないために妊娠中からできること
低出生体重児にならないためにはもちろん早産にならないように気をつけていくことが大切です。妊娠中、お仕事をされている方も多いと思います。おなかが張っていても無理をしてしまうことも多いでしょう。しかし、おなかの赤ちゃんを守れるのは妊婦さんであるママだけです。おなかが張ったり、生理痛のような痛みがあったり、出血など切迫早産兆候があればお仕事をお休みしたり、すぐに受診するなど早めの対処が大切です。
また極端な食事制限はおすすめできません。つわりが終わった妊娠中期以降は赤ちゃんが成長するのに必要な栄養がたくさんあります。バランスよく食べて、適度にからだを動かすことも必要です。
もちろん、喫煙や飲酒はやめましょう。赤ちゃんにどの程度影響があるかはまだ明らかにはなっていませんが、早産のリスクや前置胎盤のリスク、子宮内発育遅延のリスクになっています。
また、最近では妊娠中のストレス環境が低出生体重児の原因のひとつとも考えられています。ママが安心して妊娠期間を過ごせるようにパパやご家族、周りの方がサポートしてあげることが大切ではないでしょうか。周りのサポーターたちの優しい声かけや、思いやりでずいぶんママの心は軽くなると思いますよ。
まとめ
新生児医療の進歩や出産の高齢化によっても低出生体重児は増えています。また、ママたちのストレス環境も要因だと言われていますが、お仕事を続けながら妊娠期間を過ごすことは容易ではありませんし、お仕事をされていなくても初めての出産で不安に思う気持ちや上の子がいて育児におわれて大変な日々を送る中でストレスを感じない方が難しいかもしれません。その中でも、気をつけられることもたくさんあることを今回はご紹介しました。
ママのおなかの中が一番の保育器です。赤ちゃんが1日でも長く、おなかの中で快適に過ごせるように妊娠生活を送れるといいですね。
※参考:国立社会保障・人口問題研究所「先進国における子どもの幸福度」報告書