赤ちゃんは下痢をすることがありますが、ほとんどの場合は特に心配はいりません。しかし、特徴的な便や腹痛などの症状がある場合には、受診したほうが良いでしょう。今回は、赤ちゃんの下痢の原因や病気の見分け方、対処法について解説します。
赤ちゃんの下痢の特徴
赤ちゃんは消化管が未熟であることや母乳や育児用ミルクしか口にしていないので、大人に比べると便は緩めで、回数も多いのが特徴です。
下痢には、軟便と泥状便(でいじょうべん)、水様便があります。見分ける方法としては、おむつに吸い取られてしまうような便が水様便、泥状便はその名のとおり、泥のような状態の便をさします。基本的に、赤ちゃんの便は軟便程度が多いです。
排便の回数は、1日に数回から10回以上と個人差があり、色は黄~薄茶です。赤ちゃんに異常があるとき、違いに気付けるように普段の便の状態をよく観察しておくこと良いでしょう。もし、異常なのかどうか判断がつかない場合は、便の写真を撮るか、便が付いたおむつを持って小児科を受診するのが良いです。
赤ちゃんが下痢をする原因
下痢の原因は、まず感染性と非感染性に分類されます。感染性の下痢は、細菌やウイルスなどの微生物が原因です。
下痢を引き起こすウイルスはさまざまですが、代表的なのがロタウイルスやノロウイルス、アデノウィルス、エンテロウイルスです。下痢を引き起こす細菌には、病原性大腸菌やカンピロバクター、サルモネラ菌などがあり、毒素を生産する微生物には、黄色ブドウ球菌、病原性大腸菌O157、O26などがあります。
細菌やウイルスなどは、食べ物や飲み物と一緒に体内に入ることの他、咳やくしゃみなどによっても感染します。非感染性の下痢は、冷たいものを食べたり、食事量が多すぎたり、消化管に負担がかかることで起こります。他にも、腸管の消化吸収機能の低下、代謝・内分泌疾患、アレルギーのある食べ物の摂取など原因はさまざまです。抗生物質の副作用として下痢になることもあります。
赤ちゃんの下痢の対処法と気を付けること
下痢の時は、下記のことに気を付けることが大切です。
■水分をこまめに摂る
下痢が続いたときは必要な水分が体の外に出てしまっているため、こまめに水分を摂るようにしましょう。離乳食開始前の場合は、母乳や育児用ミルクで大丈夫です。離乳食を食べている場合は白湯や麦茶、ジュースなどで水分を摂るようにしてください。柑橘系のジュースは便をゆるくする場合があるので、避けた方が良いでしょう。食事が摂れる場合は、すりおろしたリンゴや重湯など消化にいいものを食べるようにしてください。
■おしりの皮膚の荒れ
下痢のときは長時間便が皮膚にくっついた状態だとおしりが荒れやすくなるため、こまめにおむつを替えましょう。その際に気を付けるポイントは、おしりを拭くときにこすらないことです。また、おしりの皮膚が濡れた状態でそのままおむつを履かせると蒸れてしまうので、しっかりおしりを乾かすほうが良いです。
受診が必要な場合とは
■発熱や不機嫌、腹痛などの症状、下痢をくり返しているといった場合
腹痛を訴えられるのは2歳を過ぎてからの場合が多いですが、体を内側に折り曲げて痛がることもあります。また、激しく泣いて、一定時間が経ってから再び激しく泣くといったことをくり返す場合も腹痛の可能性があります。
■激しく泣いては泣き止み、しばらくして再び激しく泣くのをくり返す場合
この場合、胃腸炎だけではなく虫垂炎(ちゅうすいえん)や腸重積(ちょうじゅうせき)などの可能性もあります。便のほとんどが鮮血で占められているようなイチゴジャムのような便や、黒っぽい佃煮のような便が出た場合も同様に、夜間でもすぐに受診しましょう。
■便に粘液が混ざっているものが続くとき
粘液は、炎症によってダメージを受けた腸の粘膜を保護するために分泌されるものなので、粘液そのものが悪いものという訳ではありませんが、腸に炎症が起きている状態が続くと、出血したり、ほかの疾患の可能性も考えられるので、一度、医療機関を受診したほうが良いでしょう。
■血液が便に混ざっている場合
この場合は胃や腸など消化管のどこかで出血しているということになります。新生児メレナ、細菌感染,リンパ濾胞増殖症(りんぱろほうぞうしょくしょう)などが疑われるので、クリニックで診察を受けましょう。
※リンパ濾胞増殖症は多い病気で自然に軽快します。
まとめ
赤ちゃんの下痢の多くは自然とよくなりますが、脱水には注意が必要です。そのため下痢のときは水分補給をすることが大切です。また、腸重積やO157による腸炎は緊急性のある疾患のため、赤ちゃんが激しく泣いたりするなど、いつもと違う様子がみられる場合はすぐに受診しましょう。