ドタバタな毎日に疲弊し、ついに爆発!
育休を終えて仕事復帰したばかりのころ、1歳半の子どもの慣らし保育は順調に行くはずもなく、発病の呼び出しの連続で、早々に有休が消えていきました。
朝は「時間がない」と唱え続け、口を開けば「早く!」と子どもを急かし、保育園へ。到着すれば、離れたくないと手を伸ばす子どもを背に仕事へ向かい、「これでいいの? ここまでして働く意味とは?」と毎日考えていた私。
帰宅後も「ちょっと待ってて」の連続。常に時間に追われ、子どもと一緒に息つく暇もなく、ごはん、お風呂、寝かしつけや家事をこなしていました。共働きの夫と分担しているとはいえ、私の負担は多く、そんな生活で次第に余裕が消えていきました。
半年を過ぎたころには、私は完全に働く意味を見失っていたのです。休日に子どもと遊びながら「子育て向いてない」という言葉が口からこぼれ、私は爆発しました。
夫からの予想外なひと言…
寡黙な夫は、そんな私の様子を見て、ぽつりと言いました。
「子育てに向いてる人っているのかな?」。
涙ぐみながら夫を睨むように見上げると、夫は子どもを抱き上げながら、「向いてる人って? みんな同じでしょ」と呟いたのです。
それ以上、夫からの言葉はありませんでしたが、その日、私はわんわん泣きました。私を励まそうと絞りだした夫の渾身のひと言であることは伝わりましたが、今までのつらさや抑えていた思いが一気にあふれ出し、一度せきを切った感情は止まりませんでした。
その後、夫の言葉をきっかけに、私は自分の働き方をもっと見直そうと決意。そして夫もまた、何も言わずに自分の家事の負担を増やしてくれたのでした。
気持ちが落ち着いてから振り返ると、普段から言葉少なな夫の絶妙な言葉が、不思議と自分の心にストンと落ちました。今この瞬間も、どこかで誰かが、私と同じように育児に奮闘している。そのことを思うだけで、肩の力が抜けて、少し気持ちがラクに。
みんな大変で、私も大変。だからこそ、もう少し力を抜いて、自然体で育児と向き合っていこうと思えるようになりました。
著者:富伊 凛/30代女性。2016年、2020年生まれの兄妹の母。仕事と育児の両立に苦戦し、離職を決意。都会暮らしに疲れ果て、地方移住をもくろむ。趣味はベランダ園芸。嫌いなものは、花につく悪い虫と、雨の日の電動チャリ走行。
イラスト:ななぎ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年4月)