こんにちは! 助産師のREIKOです。以前、妊娠中に感染していると影響を及ぼす可能性がある感染症のひとつとして「性器クラミジア」についてお話しさせていただきました。今回は、「梅毒」についてお話ししたいと思います。
梅毒って?
梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌によって起こる感染症です。主に性行為(
オーラルセックスも含みます)で感染します。
昔は不治の病とされていましたが、抗生物質のひとつ「ペニシリン」の普及により一時減少しました。ほかの性感染症に比べると感染者数は多くありませんが、2010年からまた増加し始め、近年女性の感染者数が倍増している感染症でもあります。
梅毒に感染するとどうなる?
梅毒に感染すると時間をかけて症状が進むため、「第1期」から「第4期」に分けられています。
初期症状としては、梅毒に感染した部位にしこりのようなものや潰瘍ができたり、痛みを伴わないふとともの付け根の腫れがみられます。しかし、これらの症状は何もしなくてもよくなることが多いので、梅毒に感染していることを見過ごしてしまうことも。
感染力は第1期と第2期が特に強いといわれています。しかし、症状があまりないので、感染が広がってしまう可能性があるんです。
妊娠中のママが感染しているとどうなる?
梅毒は性行為以外に、胎盤を通じておなかの中の赤ちゃんに感染し、「先天性梅毒」を引き起こすことがあります。ママが持っている梅毒トレポネーマの数が多いほど、おなかの赤ちゃんへの感染リスクは高まり、ママが梅毒の第1期、2期で治療をしていない場合、赤ちゃんへの感染リスクは50%以上といわれています。
女性の梅毒の感染者数の増加に伴い、先天生梅毒の赤ちゃんの数も増加してきています。先天性梅毒の赤ちゃんは、早産や在胎週数に比べて小さく生まれてくることが多いようです。生まれてすぐは元気に見えても、生後数週間から数カ月後に発疹や鼻詰まり、貧血や黄疸、骨軟骨炎など、さまざまな症状が現れます。
梅毒の治療法は?
万が一、ママが梅毒に感染していたとしても、妊娠13週ころまでであれば赤ちゃんへの感染する確率は低く、治療効果もあります。そのため、妊婦健診の初期の血液検査で感染症の検査をおこない、梅毒に感染しているとわかったら、ペニシリンの投与を始めます。
それに加えて、赤ちゃんへの感染の兆候がないか、超音波で赤ちゃんの体や胎盤の様子をみていきます。赤ちゃんが先天性梅毒だった場合、ママ同様、ペニシリンを投与して治療します。
梅毒の感染力は、時間の経過とともに低下し、4年以降は性行為による感染はないとされていますが、特に感染力の強い第1期、第2期の感染者との性行為を避けることが梅毒を予防するうえで大切です。梅毒は治療可能な感染症ですが、やはり早期発見・早期治療が大切です。気になることがある場合は、早めに受診しましょう。