
社会とつながりたい…そんな思いがきっかけ
双子の息子と娘が2歳半になり、育児も少し落ち着いてきたころ。幼稚園に入園するまでの間、少しだけ社会とつながる時間がほしいな……と思うようになりました。「短時間でも外で働いてリフレッシュしたい」。そんな思いから求人サイトを見ていたところ、ある求人が目に留まりました。
それは、テレワーク用のレンタルスペースの清掃スタッフ。勤務時間は朝7時から8時までの1時間。しかも、家から徒歩5分という好条件。「これなら、家族にも迷惑をかけずに働けるかも」と思い、夫に相談して働くことを決めました。
「なんで俺が犠牲に?」夫の一言にイラッ…
夫の出勤は8時半からなので、私が仕事に行っている1時間、家事と育児は夫にお願いすることになりました。ただ、その“たった1時間”が夫にとっては想像以上に大変だったようです。
初日の帰宅後、開口一番に言われたのはこんな言葉でした。
「なんでお前の小遣い稼ぎのために、俺が犠牲にならなきゃいけないの? 家にお金入れるならまだしも……」。
正直、カチンときた私。1時間くらい、子どもの面倒を見られないの?と、内心思いながらもぐっとこらえて「ごめんね、大変だったよね。ありがとう」と夫に伝えました。
1週間ほどで夫に変化が…!?
それから1週間が過ぎたころ。帰宅時に言われていた「遅い!」という愚痴がなくなり、なんと夫のほうから「今日は洗濯して、ゴミ出して、掃除もして、子どもたちの歯磨き、着替えも終わらせたよ」と報告をしてくれたのです。
業務報告のように、自分がおこなったことを自信ありげに伝えてくる夫に思わず笑ってしまいました。試行錯誤しながら、夫なりに“自分の家事・育児スタイル”を見つけてくれたようで、私は一安心したのでした。
現在も私はその仕事を続けています。夫も朝の家事・育児ルーティンにすっかり慣れて、子どもたちの成長に一緒に向き合ってくれる頼もしい存在に。
「今日ね、子どもたちがこんなことでぐずってさ……」「私はこうしたらうまくいったよ」と、そんなふうにお互いに子育ての知見を共有できる関係になれたことが、本当にうれしい変化でした。たった1時間の仕事復帰が、夫婦にとっても、家族にとっても、大きな第一歩になりました。
著者:野中 まゆ/30代女性。2022年生まれの男女双子の母。13年保育士として勤務。出産を機に退職し、現在は保育士経験や自身の子育て体験をもとに、在宅で執筆業務をおこなっている。
作画:キヨ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年5月)