妊娠中、あくびが止まらない原因は低血圧だった!?低血圧の対処法は?

2019/01/25 19:00
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この記事では妊娠中の血圧について、医師監修のもと解説します。通常、妊娠中の血圧は、通常は妊娠初期に低下し始めて、妊娠20~32週ごろまで妊娠前とほぼ同じ程度の血圧を示し、32週以降は分娩に向けて上昇する傾向にあります。妊娠中に低血圧でも快適に過ごせるように、生活習慣の基本となる食事や睡眠、運動を見直してみましょう。
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妊娠高血圧症候群

低血圧のイメージ

 

妊娠時も非妊娠時と同じく、血圧が高いことは何かしらのリスクがあります。では逆に低血圧の場合は何か妊娠に影響があるのでしょうか。今回は妊娠中の低血圧について、正常の血圧、高血圧、低血圧それぞれの数値の説明と、低血圧の原因や症状、対処法を踏まえて解説します。

 

妊娠中の血圧の正常値について

血圧とは、心臓から流れる血液が血管の壁を押す圧力のことです。血圧は、心臓が収縮して血液を押し出すときの最も高い血圧を最高血圧といい、心臓が拡張して血液の流れが緩やかなときの最も低い血圧を最低血圧といいます。通常、妊娠中の血圧は、妊娠初期に低下し始めて、妊娠20~32週ごろまで妊娠前とほぼ同じ程度の血圧を示し、32週以降は分娩に向けて上昇する傾向にあります。


成人の場合、健康的な生活ができる血圧は、最高血圧120mmHg未満かつ最低血圧80mmHg未満です。この値より高くなるほど、脳卒中や心疾患、腎臓病など生命に関わる病気に罹患するリスクが高くなります。そのため、高血圧については診断治療のための基準値が細かく設けられています。

 

妊婦さんの場合、最高血圧が140㎜Hg以上かつ最低血圧が90㎜Hg以上の場合を妊娠高血圧として分類しおり、妊娠20週以降、産後12週までに妊娠高血圧を発症した場合、または高血圧に蛋白尿を伴う場合を、妊娠高血圧症候群といいます。妊娠高血圧症候群の場合、母体の血圧上昇や蛋白尿に加えてけいれん発作(子癇)、肝臓や腎臓の機能障害、脳出血などを引き起こすことがあります。また、胎児は子宮内での発育が悪くなったり(胎児発育不全)、胎児へ栄養や酸素を供給している胎盤が剥がれたり(常位胎盤早期剥離)など、母児共に生命が危険な状態となることがあります。

 

一方、低血圧については症状がない限り医学的な問題はないため、細かい診断基準はなく、妊婦特有の基準もありません。WHO(世界保健機関)は、最高血圧が100㎜Hg以下かつ最低血圧が60㎜Hg以下のときを低血圧と定義しています。低血圧は、原因となる疾患がなく慢性的に血圧が低い本態性低血圧と、心臓疾患や神経疾患、内分泌代謝疾患など明らかな原因があって起こる二次性低血圧があります。高血圧で、降圧剤の内服をした副作用で起こる低血圧は二次性低血圧に含みます。本態性低血圧の場合、本人の生活に支障がなければ、医学的に病気とは判断しません。

 

妊娠中の低血圧の原因と症状について

妊娠前から低血圧の女性や妊娠してから低血圧になった女性の場合に、特に自覚症状がないまま妊娠期を過ごす方が多くいらっしゃいます。一方で、低血圧に伴う自覚症状は、妊娠に伴う心身の変化によって起こる不快な症状とも重なります。特に、妊娠中は貧血になりやすいため、低血圧と貧血の両方の似た症状に悩む方もいます。

 

<低血圧に伴う自覚症状>
・めまい
・あくび
・疲れやすい
・朝起きるのがつらい
・熟睡感が得られない
・頭痛や頭重感がある
・肩こり
・手足の冷え
・悪心嘔吐
・失神発作(意識を失う)


妊娠中に起こりやすい低血圧の種類

妊娠中の低血圧は、日常生活に支障をきたす状況でなければ、特に問題にすることはありません。一方で、妊娠中は胎児の成長に伴って子宮が大きくなることが影響して、どの妊婦にも下記の低血圧が起こりやすい状況となります。

 

■起立性低血圧
起立時には、血液が身体の下方へ移動して血圧が下がりますが、通常は生理的な調節機能が働き、心拍数の増加や末梢血管の収縮などにより血圧は保たれます。この機能が妊娠による影響で自律神経系の働きが鈍い状況と重なり、血圧の調節機能が働かず、起立時に立ちくらみやめまいなどの症状が起きたり、転倒して腹部を打ったりする危険性があります。妊娠中は、急激な動作の変化や長時間立ったままで作業し続けることを避けましょう。

 

■仰臥位低血圧症候群(ぎょうがいていけつあつしょうこうぐん)
妊娠中期以降、仰臥位(あおむけ)の姿勢になると、大きくなった子宮が下大静脈という下半身から心臓へ戻る血液が通る大きな血管部分を圧迫して、急激に低血圧を引き起こすことがあります。下大静脈は、母体の右側を走行しているため、母体の意識が遠のくなど不快症状が起きたら、すぐ左側臥位(母体の左側を下にして横向きになる)の姿勢にして子宮による下大静脈の圧迫を取り除くことで、直ちに症状が回復します。

 

産婦人科では、胎児の心拍や陣痛を測定するモニター中に仰臥位低血圧症候群を予防するため、

・平らなベッド上で仰臥位のままモニターをしない

・セミリクライニング(頭部側を30度程挙上した状態)でモニターをおこなう

・母体腹部の右側にタオルやクッションを置く

などの工夫をしますが、体勢や胎動の影響で予防しきれないこともあるので、モニター中に気分不快があればすぐにナースコールなどで助産師や看護師へ知らせましょう。

 

妊娠中に低血圧でも快適に過ごすためには?

妊娠中に低血圧でも快適に過ごせるように、生活習慣の基本となる食事や睡眠、運動を見直してみましょう。

 

■食事

つわりの時期は食べやすいものを食べましょう。つわりがない、あるいはつわりの時期が過ぎたら、主食、主菜、副菜でいろいろな食材を摂るように心がけることが大切です。また、妊娠前からあまり水分を摂らない、妊娠中のむくみや頻尿が気になるなどの理由で積極的に水分を摂らない女性もいますが、妊娠中は血液循環を促すことや脱水を予防することが大切ですので、水や麦茶など糖分やカフェインを含まない飲み物を意識的に摂取しましょう。飲む量の目安は1日1000ml程度が良いでしょう。

 

■睡眠

なるべく同じ時間帯に眠ったり起きたりすることを心がけましょう。産まれた赤ちゃんは朝型の生活リズムですので、妊娠中から生活リズムを整えていくためにも早寝早起きが理想です。熟眠感を得られる睡眠時間は妊婦によって異なります。夜間ぐっすり眠れない場合は、昼寝をうまく取り入れるなど工夫して睡眠リズムを整えましょう。

 

■運動

低血圧は筋肉量の少ない女性に起こりやすいため、妊娠経過が順調であれば、10分程度のストレッチや15~30分程度の散歩を日常に取り入れるとよいです。妊娠前から定期的な運動習慣がない方でも、無理なく続けられる程度の運動でかまいませんので続けましょう。産婦人科医からの許可があれば、マタニティヨガやマタニティビクスなどへ定期的に行うことも効果的です。妊娠中の体力維持だけでなく、出産時や産後のための体力づくりにも役立ちます。

 

まとめ

妊娠中の血圧の変化は、母体だけでなく胎児の健康状態に影響します。異常の早期発見と対応が重要なため、妊婦健診では毎回血圧測定をしますが、低血圧で症状がない場合は神経質にとらえる必要はありません。もし、低血圧の症状に悩む場合は産婦人科医や助産師へ相談しましょう。

 

 

監修者

医師 川島 正久 先生

産婦人科 | あんずクリニック産婦人科院長


静岡県磐田市生まれ。平成5年神戸大学医学部卒業、神戸市立中央市民病院/淀川キリスト教病院、磐田市立病院に勤務の後2011年にあんずクリニック産婦人科を開業「お産を通して人々に喜びを与える」をモットーに地域の人々のお役に立てるよう励んでいます。

 

■主な経歴

静岡県立磐田南高等学校卒業
筑波大学 生物学類中退
神戸大学医学部卒
1993年~1995年    神戸市立中央市民病院
1995年~1996年    六甲アイランド病院
1997年~2002年    若宮病院
2002年~2003年    日本医療救援機構(アフガニスタン)
2003年~2004年    浜松医大 産婦人科
2004年~2005年    蒲原病院
2005年~2008年    藤枝市立病院
2008年~2011年    磐田市立総合病院

 

■専門領域

日本産婦人科学会専門医
母体保護法指定医

 

■HP:あんずクリニック産婦人科


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