マウントにうんざりしていると…
支援センターで毎週顔を合わせるママたちの中でも、最新の子育てグッズやブランド物の高いおもちゃを持っているAさんは、いつもマウントを取ってきます。服、バッグ、ベビーカー、子どものおもちゃに至るまで、彼女はことあるごとに「どこどこの限定品なの」と自慢してきたり、「これいくらしたと思う?」と聞いてきたりするのです。いつもマウントを取ってばかりのAさんに正直、私はうんざり……。
そんなある日、4~5人でおしゃべりをしていたのですが、そこでもAさんは「えっ、その抱っこひも、まだ使ってるの? その抱っこひもは子どもの骨格に影響出るらしいよ? 今どきは、○○っていうブランドが常識よ」と、あからさまなマウントを仕掛けてきます。初参加の新米ママが明らかにしょんぼりしているのを見て、場の空気は重たくなりました。すると、いつも静かにニコニコしているBさんが、突然口を開いたのです。
「Aさん、すごいですね。いつもいろんな最新グッズや高級品を持ってて。でも……あれ? Aさんが持ってるそのバッグ、高級品だって以前聞いたけど、よく見ると私が作ったのにそっくり! 驚いちゃった」と言うのです。すると一瞬、Aさんの顔が固まりました。「え? 作ったって……どういうこと?」と私が聞くと、「私、ある通販サイトの商品デザインを請け負っているんです。Aさんのこのバッグは、高見えするデザインの量産品で……たしか5,000円くらいかな」とBさんが話し、周囲のママたちが「えっ……」とざわつきはじめました。さらにBさんは、「私が作ったバッグのデザインを気に入ってもらえてるのはうれしいですけど、高級バッグだと嘘をついて他の人を見下すのは、よくないと思いますよ?」と続けると、Aさんはマズイ……という表情で沈黙し、すぐに「もう帰る」とそそくさと帰って行ったのでした。
そのあとBさんに通販サイトにのっている商品画像を見せてもらうと、たしかにAさんが持っていたバッグとそっくり。Aさんのあの表情からも、結局バッグはブランド品ではなく、Bさんがデザインを請け負った通販サイトの商品だったのだと思います。
その後、支援センターにAさんが現れることはなくなり、代わりに日々のごはんについてや子どもの話で笑い合える、穏やかな空気が戻ってきました。見えを張ってもいいことはないというのを目の当たりにしたことで、今後も自慢や見栄張りはせず、誠実な人付き合いを心がけていこうと思いました。
著者:川中あいこ/40代・ライター。マイペースな3歳の息子と、おてんばな1歳の娘を育てるママ。夫は帰宅時間が遅く平日ほぼワンオペ。転勤族で、日本中のおいしい物が食べたいと思っている。老後はどこに住むか想像するのが好き。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年4月)
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