僕のことが嫌いな部長
僕は20代半ばの会社員。仕事のスピードが速いわけではありませんが、とにかく顧客を大切にしてきました。その甲斐あって顧客からは評価してもらえることも多かったのですが、部長はそんな僕が気に食わないよう。毎日のようにひどい言葉をかけてくるのです。
「お前は本当にノロマだなぁ。営業部のお荷物なんだよ」
さらに、部長はとにかく目立ちたがり屋で、会議では必ず自分がプレゼンするものの、資料作りは僕に任せっきり。「なんだこの地味な資料は!」と文句を言われたため、「でも、こっちのほうが見やすいので」と説明しても、「お前は無能なんだから、俺の言うことを聞いておけばいいんだよ!」と一蹴され……。
僕は不満を持ちながらも、波風を立てないよう彼に従いながら仕事をしていました。
引き立て役として会食へ
そんなある日、部長から「今日、うちの会社の重要な顧客であるA社の社長との会食があるから、お前も来い」と言われました。「嫌われている僕がなぜ?」とびっくりしましたが、聞けばA社の社長は女性で、部長は社長に異性として好意を寄せているよう。そのため、引き立て役として僕を呼んだのです。
会食が始まると、部長はさっそく僕のことを馬鹿にし始めました。
「こいつは本当に使えないヤツでして、困っているんですよ〜」
「お荷物だから俺が教育してやってるんです!」
そして部長は、仕事の話はそうそうに社長のことを口説き始めます。
「社長、このあと2人で飲み直しませんか? 俺のおすすめのバーがこの近くにあるんです」
すると社長は、驚きの発言をしました。
「お荷物ってことは、この社員は(僕は)いらないってことですよね? では、私がいただきます」
僕がポカンとしていると、社長は「仕事の話がないのであれば、私はこれで帰ります。ただ、きみには話があるので来てください」と言って、僕の手を引いてお店から出ました。
社長「嘘よね?」
社長に手を引かれ、お店の隣の路地裏に入った僕。社長はお店から部長が出て帰っていくのを確認すると、僕に謝罪します。
「付き合わせてしまってごめんなさい。前々からあの部長にはしつこく食事に誘われ困っていて……。今日はあなたのおかげで彼から逃げることができました」
「いえいえ、お役に立ててよかったです」と言って帰ろうとしましたが、「お礼として一杯だけ奢らせて。それに、話したいことがあるのは本当だから」と社長に誘われ、僕たちは近くのバーへ。
席に着くと、社長は「部長は君は仕事ができないって言っていたけど、絶対に嘘よね?」と発言。なんでも社長は、僕が会食の場でテキパキと気をつかいながら働く姿を見てそう感じたよう。「部長は僕のことが昔から嫌いなんです……」と思わず愚痴をこぼすと、僕は社長から予想外の提案をされたのです。
退職願を提出
翌日、僕が出勤するといつものように部長が「頼んだ資料は準備できたのか」と声をかけてきました。僕は意を決して、部長に退職願を渡します。
部長はとても驚いた様子で、「お、お前みたいなやつを雇ってくれる会社なんて、ここ以外ないぞ!」と脅してきたため、僕は部長の顔を見てきっぱりと言いました。
「いえ、僕はA社への転職が決まったので。昨日、社長が直接スカウトしてくれました」
そう、社長の提案とは、「ぜひわが社に来てほしい」ということだったのです。
嫌がらせの証拠を人事部へ
その後僕は、今までせっせと集めてきた部長が僕に嫌がらせをしてきた証拠を人事部に提出。引き継ぎをしっかりとし、無事にA社へ入社しました。
一方、仲のいい元同僚から聞いた話によると、部長の嫌がらせはパワハラに認定され、部長職から外されたよう。部署も異動になり、今は大人しく仕事をしているそうです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように!