両親にベッタリなA子
A子の父親は結婚式場の運営をする会社の社長です。そのため家庭はとても裕福で、A子は大人になってからも両親にベッタリでお小遣いをもらうことも。
親子の仲がいいのは素敵なことですが、彼女は「お母さんとお父さんが言っていたから」など、両親の意見に左右されることもしばしば……。そこが結婚するにあたっての懸念点だったものの、それでもA子は素敵な女性であり、僕はプロポーズをしたのです。
そしてA子の両親へのあいさつ当日、僕は緊張しながらも彼女の実家へ。「うまくいきますように」と願いながら、インターフォンを押しました。
父親から驚きの言葉
A子とその母親に案内され、僕はリビングへ。すると、ソファにはA子の父親がふんぞりかえるように座っており、僕の顔を見るなりいろいろと質問してきました。
「君、会社はどこだね？」
「都内にあるホテルで働いています」
会社名や規模、仕事内容を聞かれ、僕は詳しく説明。すると、彼女のお父さんは驚きの発言をしたのです。
「会社の規模も小さいし無名じゃないか。底辺会社員のくせに娘と結婚できると思うなよ！」
僕は動揺しながらも、「でも、A子さんは結婚してくれると言いました」と言うと、黙って僕たちの会話を聞いていたA子がやっと口を開きました。
「お父さんがそう言うなら、婚約は破棄する」
「そ、そんな……」
僕は何も言えないまま、A子の家から去り、僕たちの結婚はなしになったのでした。
姉に婚約破棄を報告すると…
数日後、僕は姉に婚約破棄になったことを話すため、姉の会社を訪れました。姉は急成長中の旅行会社の社長で、僕はその会社の子会社で働いています。1年後には親会社に異動する予定なのですが、姉のことや今後の仕事のことは、両親へあいさつを終えてからA子に話そうと思っていました。
「姉さん、A子との婚約はなしになったよ」と、僕は姉に報告。経緯を説明すると、姉は「なら、A子さんのお父さんの会社との契約はしないことにする」と言い出したのです。
僕が「なんのこと！？」とポカンとしていると、「実は、A子さんの父親が経営する結婚式場とうちが契約する話があったの。ただ、先方の経営状況はイマイチだし、決めてに欠けていたのよ。でも、あなたのひどい婚約破棄の話を聞いて、契約しないことに決めた」とのこと。
僕は「そんな話があったのか！」と驚きながらも、「姉さんが決めたことなら、異議はないよ」と言い会社を後にしました。
A子「やっぱり結婚してあげる」
それから1週間後、いきなりA子から電話がかかってきました。
「やっぱり結婚してあげるから、お父さんの会社と契約してほしいってお姉さんに言って！ そうしないと、うちの会社の経営が大変なことになる」
どうやら姉は契約を断る際、僕との関係も明かしたよう。それで慌てて、A子は僕に電話をしてきたのでしょう。
「お父さんに反対されたとき、君は少しもお父さんを説得してくれようとしなかったよね？ あんなにあっさり捨てられるとは思わなかったよ」
「謝るから許して。まだ私のこと、好きでしょ？」
「いや、親の言いなりの君にはもううんざりだ。もう連絡はしてこないでくれ」
そう言って、僕はA子の連絡先をブロックしたのでした。
姉によると、A子の父親は会社に乗り込んできたそうですが、姉は毅然とした態度で「契約はしない」と断ったよう。彼らの会社の経営はより厳しくなったようですが、もう僕には何の関係もありません。
今後は恋愛はしばらく休憩し、ビジネスマンとして成長するために仕事に精を出していきたいです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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