祖父が家族に内緒で契約していた葬儀社
祖父が亡くなったのは、ある年の冬のことでした。家族で葬儀の準備を進めようとしたとき、祖父が亡くなる半年前に、ひとりで葬儀社の互助会に加入していたことが判明しました。祖父なりに、家族の負担を減らしたいという思いがあったのだと思います。
ただ、その積立期間は半年ほど。葬儀代を十分にまかなえるものではなく、私たち家族にとっても予想外の展開でした。とはいえ、ほかに当てがあるわけでもなく、結局その葬儀社に祖父の葬儀をお願いすることに。
葬儀自体はつつがなく、トラブルもなく、家族としては静かに祖父を見送ることができました。
見積もりの倍額を請求された祖母の搬送
その数年後、祖母が亡くなりました。祖母は生前、「自分が亡くなったら献体にしてほしい」と希望していたため、葬儀自体はおこなわず、遺体を病院から自宅へ搬送するのみの対応となりました。
その搬送を、以前と同じ葬儀社に依頼しました。見積書もきちんと事前に受け取り、必要な費用だと納得していたのですが……。数日後、届いた請求書には、見積もりの約2倍もの金額が記されていたのです。
驚いて内容を確認すると、「プランニング料」など、葬儀をおこなっていないにもかかわらず不明な項目が複数加算されていました。
母が連絡を入れると、電話口の担当者は「アハハ、すみませんね」と笑いながら謝罪。すぐに当初の見積もり額に訂正されたのですが、その軽い対応に母は強い不信感を抱きました。
「家族が動揺している隙をついて、余分に請求しているのではないか」。母の胸には、そんな疑念が残りました。そして「今後はもうこの葬儀社とは関わらない」と、心に固く決めたのです。
関わりたくないのに…再び訪れた営業マン
それから数年後のことです。母のもとに、かの葬儀社の営業マンが訪ねてきました。かつて祖父が加入していた互助会への勧誘が目的だったようです。
母はていねいな口調で、過去のやりとりについて説明し、「あなた個人を責めたいわけではない」と前置きしたうえで、「信頼関係の構築が難しいため、今後の訪問は控えてほしい。会社内でも共有していただきたい」と伝えました。
営業マンもそれを了承し、その場は穏やかに終わったのですが……。わずか2カ月後、再び同じ会社の営業がやって来たのです。
さすがに母も驚き、再度事情を説明したところ、今度の営業マンは「そのような共有は一切されていない」と答えました。母は改めて「お互いのためにも、社内で情報を共有してほしい」と強くお願いし、その場は収まりました。それ以降は、訪問が来ることはなくなりました。
まとめ
実は、その葬儀社には、私の同級生も働いています。きっと誠意ある従業員の方もたくさんいるのだと思います。ただ、たとえ一部の行動であっても、企業全体の信頼を損ねてしまうことがある。社内での情報共有がなされていなかったことにも、大きな失望を覚えました。この体験を通して私は、「お金に対する誠実さ」や「情報共有の重要性」が、どれほど企業や人の信頼に関わるかを痛感しました。そしてそれは、私自身の仕事にも大きな影響を与える、大切な教訓となったのです。
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著者:磯辺みなほ/30代女性。ゲーマー。発達障害持ちの夫と2人暮らし。大変なことも多い中、それ以上にネタと笑顔にあふれる毎日を送っている。
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年6月)
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