
ばあばと一緒にいるはずの長女が…
その日、母は実家の玄関先でご近所さんと立ち話をしていて、長女は「ばあばのところに行く」と言って玄関へ向かいました。玄関前で目の届く距離だったので、私はそのまま見送るだけで、母に声をかけることもありませんでした。
普段から母と長女が庭先や玄関前で過ごすことはよくあり、「ばあばのそばで遊んでいるのだろう」と何の疑いもなく、私は家の中で下の子の支度を続けていたのです。
しばらくして母が家の中に顔をのぞかせ、「ねえ、◯◯(長女)は?」と聞いてきました。「……え? ばあばと一緒じゃなかったの?」。その瞬間、誰も長女を見ていなかったことに気づき、血の気が引きました。
足が震える中、必死の捜索
家の中、庭、家の裏手、すぐ近くの十字路まで探しても、どこにも長女の姿はありません。私は不安で足が震えてしまい、声も出ず……。母やご近所の方々も加わって、みんなで手分けして探してくれました。
周囲は住宅街で、交通量はそれほど多くないものの、抜け道になっているため、時折スピードを上げた車が通ります。もし、道路に出てしまっていたら――。頭の中で最悪のシナリオばかりが浮かび、焦りと恐怖で体がどんどん強張っていきました。
捜索を始めて約30分後、実家から30メートルほど離れた家に住むご近所さんが「この子、もしかして……」と長女を抱っこして来てくれました。娘の姿を見た瞬間、私は全身の力が抜けてその場にへたり込み、声も出せず涙だけが溢れました。
長女は真っ赤な顔で泣きじゃくり、こちらが話しかけても言葉にならない状態。ご近所さんの腕の中で、ずっと泣き続けていたそうです。どうしてそこまで行ってしまったのか長女に尋ねても、まだうまく説明できる年齢ではないため、理由ははっきりわからずじまいでした。
思い込みと油断が招いた事態
私は「ばあばのところに行く」と言う長女をそのまま見送りました。一方で母も、足元に長女がいたのは気づいていたそうですが、いつの間にかいなくなり、「ママが家の中に連れて戻ったのだろう」と思ったそうです。
お互いに「相手が見ている」と思い込み、実際は誰も長女を見ていなかったのです。
普段と同じように、玄関前で母と長女が一緒にいて、外に出ることはないだろうという油断が私にもありました。しかし、育児の中で「一瞬の判断」が、どれだけ大きなリスクにつながるかを痛感しました。
この出来事をきっかけに、玄関や門まわりの安全対策を見直しました。玄関にはチャイルドロックを設け、子どもが簡単に外へ出られないように。門の前には、子どもだけでは開けられない柵を設置。「家族の誰かが見てくれているだろう」ではなく、必ず声をかけて確認するよう心がけるようになりました。
長女が無事だったこと、そしてすぐに気づいて助けてくださったご近所の方に、心から感謝しています。
著者:桜井 心音/20代女性。2020年生まれの長男、2022年生まれの長女、2024年生まれの次女を育てる母。にぎやかな子どもたちに追いかけ回されながらも、日々の気づきを大切に暮らしている。趣味は、犬とまったりすることと、静かなコーヒータイム。早起きは得意だが、片付けは苦手。人の心に寄り添う文章を目指し、ライターとして活動中。
作画:まっふ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年6月)