静まり返った車内に響いた声は…?
長男を妊娠中、私は体調に変化がなかったので、マタニティマークをつけようか悩んでいました。しかし「妊娠中は何があるかわからない。マタニティマークをつけることで、おなかの赤ちゃんを守れる可能性がある」と母親学級で学び、それから必ずカバンにつけるように。
妊娠4カ月のある朝、友だちに会うため電車に乗りました。通勤ラッシュの時間は過ぎていたので、優先席以外でも空席がちらほらあり、そこへ座ることに。目的地に着くまでの間、外の景色を見ていると少しずつ混みはじめ、気づくと私の前に40代後半くらいの男性が立っていました。
その男性は、私のカバンについたマタニティマークを見るなり「ちっ」と舌打ち。そして「あんた、このマークつけときゃ堂々と席に座れると思っているだろ」と、言いがかりをつけてくるではありませんか。「いえ、そんなことはないですが……」と否定すると、なぜか男性は逆上! 「おなかも出ていないし、本当は妊娠してないんだろう!」と言ってくるのです。
そのときは妊娠4カ月で、確かにまだおなかも目立っていませんでした。しかし、おなかにいる長男の存在を否定された気がして、悔しさと怒りがこみ上げます。周りからの視線も気になり、車両を移動しようとしたとき。シーンとした車両に「ママ、あのおじさん“赤ちゃんを守っているよ”のマーク知らないんだって。教えてあげようよ」という男の子の声が響きました。その言葉を聞き、自分が言いがかりを言っている自覚が生まれたのか、男性は顔を真っ赤にして無言で別の車両に移動していきました。
男性を撃退してくれたのは、私の座席の向かい側の席に座っていた4歳くらいの男の子。隣に座っているお母さんのおなかは大きく、私と同じようにカバンにマタニティマークをつけています。私は小声で「ありがとうございました」と会釈をすると、男の子のお母さんはニコッと微笑んでくれました。初めての妊娠で不安なことも多かった時期でしたが、とても心が温まった出来事です。
「ママがおなかの中で“赤ちゃんを守っている”」という男の子の考え方がとても素敵だったので、私も子どもたちにマタニティマークの意味をそう伝えています。ひねくれた見方ではなく、相手を想う行動をわが子たちにも学んでほしいと感じた一件でした。
著者:下野香月/30代・ライター。面倒見のいい7歳の長男と、ひょうきんな5歳の長女、甘えじょうずな3歳の次女を育てている元保育士ママ。在宅勤務をしながらスキルアップ中。日々子どもたちに癒やされながら、忙しくにぎやかな毎日を送る。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年6月)
【Amazonギフト券プレゼント♡】みなさまの体験談を募集しています!
妊娠中や子育て中のエピソードを大募集!「ベビーカレンダー」のニュース記事として配信、公開いたします。体験談を掲載させていただいた方の中から、抽選で毎月5名様に1000円分のAmazonギフト券をプレゼント。何度でも応募可能ですので、奮ってご応募ください♪どうぞよろしくお願いします!