妊娠中の蕁麻疹はどうして起こる?対処法と注意点は?

2019/08/21 12:30
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この記事では、妊娠中の蕁麻疹について医師監修のもと解説します。蕁麻疹の原因は直接的なものだけではなく温度や睡眠不足、疲労、ストレスなどもあります。特に妊娠中は体調の変化に加えて精神的にも不安定な状態なので症状が出やすく、悪化することもあります。
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じんましんのイメージ

 

妊娠すると、今までと違う皮膚トラブルが起こることがあります。それは蕁麻疹かもしれません。しかし、素人ではかゆみや発疹を、蕁麻疹かどうか判断することは難しいものです。今回は、妊娠中に起こる蕁麻疹と他の皮膚トラブルとの見分け方や原因、それぞれの治療法ついて解説します。

 

妊娠中に蕁麻疹が出る原因と症状とは?

妊娠中は免疫系、内分泌系、代謝、血管系などに大きな変化が起こり、妊娠前に比べると肌も敏感になっている状態です。このように皮膚が敏感な妊娠中は、皮膚を掻くことや、食べ物や運動、薬や感染などの「刺激」によって蕁麻疹が起こりやすくなります。


蕁麻疹は、ヒスタミンというかゆみの原因になる化学伝達物質が肥満細胞から放出されることで発症します。ヒスタミンが神経を刺激するとかゆみが起き、血管に作用すると発疹となって現れます。蕁麻疹の特徴は次のようなものです。

・発疹と強いかゆみを伴う
・皮膚を掻くとみみず腫れが出る
・2~3mmの発疹や地図状の発疹が出る
・発疹は24時間以内に、体のあちこちで出たり引いたりする

 

すべての蕁麻疹の原因がはっきりと分かっているわけではありませんが、特定の原因ができれば、それを除去することで症状を改善することができます。治療はステロイドなどの薬を使用することがありますが、妊娠継続中は積極的な治療が難しいので、蕁麻疹とじょうずに付き合うことが主な対処法となります。

 

蕁麻疹が出る原因には直接的なものだけではなく、温度や睡眠不足、疲労、ストレスなどもあります。特に妊娠中は体調の変化に加えて精神的にも不安定な状態なので、蕁麻疹の症状が出やすく、悪化することもあります。

 

妊娠中の蕁麻疹の対処法や治療法は?

妊娠初期は、ただでさえ体調が優れない時期です。かゆみが長期にわたって続くと、睡眠が十分にとれないので疲れやすく、ストレスがたまるようにもなります。非妊娠時の通常は、蕁麻疹の治療は抗ヒスタミン剤を内服して、蕁麻疹の原因物質であるヒスタミンの量を抑えるようにしますが、妊娠中は胎児への影響を考え、使用できる内服薬が限られます。基本的に妊娠初期(妊娠4カ月ごろ)は抗ヒスタミン剤は積極的には推奨されません。皮膚の保湿などで経過を見ることが多いですが、よほどひどい状態であれば、胎児や妊婦への影響がないと考えられている種類の薬を使用します。

 

他にはステロイド外用剤で皮膚の発疹を抑える治療があります。蕁麻疹に限らず、掻き続けて湿疹になってしまった部分や引っ掻き傷についても、ステロイド外用剤を使うことがあります。ステロイドと聞くと胎児への影響を考えて、薬を使うことに抵抗がある妊婦さんも多いかもしれません。しかし、蕁麻疹が長期的になると症状も悪化してしまい、治療自体も長期に及ぶことになります。ステロイド外用剤がどうしても気になるという場合は、抗ヒスタミン外用剤も選択肢のひとつです。医師としっかり相談して、納得した上で治療を受けましょう。すでに使用している内服薬や塗り薬があれば、お薬手帳などを持参して受診してください。

 

蕁麻疹は強いかゆみを伴うので、寝ている間もかゆくて目が覚めたり、無意識に体のあちこちを掻いていたりしてしまいます。掻く状況が長期間続くと皮膚が炎症を起こし、色素沈着(しきそちんちゃく)といって皮膚が茶色く変色してしまい、跡を治すのに時間がかかってしまいます。跡を残さないためにも早めに対処をして、しっかり治しきることが大切です。

 

妊娠が原因の蕁麻疹は、出産すると蕁麻疹は出なくなり、症状が改善することが多いのが特徴です。なかなか症状が良くならなければ、授乳中でも使える内服薬はあります。産後は治療薬の選択肢が広がって、蕁麻疹を治しやすくなるので安心してください。

 

その他の妊娠中の皮膚のトラブルとは

蕁麻疹と間違えやすいものとして、「妊娠性痒疹(にんしんせいようしん)」があります。

 

蕁麻疹と似て、強いかゆみがあるので区別がつきにくく、妊娠によって発症する皮膚疾患のひとつです。妊娠性痒疹は、出産後には症状が自然に改善されます。妊娠性痒疹は、妊娠初期から中期に発症することが多く、地図状に広がる蕁麻疹とは異なり、体や腕、足などにポツポツとかゆみを伴う発疹が出てきます。痒疹は赤くなっていたり、水ぶくれになっていたりと見た目にもさまざまですが、引っ掻くことによってしばしば表面が傷ついている状態になります。

 

この妊娠性痒疹は、約20%の人が家族や妊婦自身にアトピーの体質があるという報告(※1)もあります。痒疹になってしまうと、治すのもかなり時間がかかってしまいます。まずは掻かないことが大切です。必要があればかゆみ止めの内服薬を使うことがありますが、主にはステロイド外用剤で治療することになります。

 

参考

※1 日本アレルギー学会「3.妊娠とアトピー性皮膚炎(和文誌『アレルギー 63巻 2号』より)」

 

まとめ

妊娠による免疫力の変化やストレスなどによって、蕁麻疹などの皮膚疾患が出やすくなります。胎児への影響を心配するあまり治療せず我慢していると、症状が悪化して治すにも時間がかかってしまいます。早めに対処して、少しでも快適なマタニティライフを送りましょう。

 

参考

※ 日本皮膚科学会「慢性痒疹診療ガイドライン(『日本皮膚科学会雑誌 2012年 122巻 1号』より)」

 

監修者

医師 天神尚子 先生

産婦人科 | 三鷹レディースクリニック院長


日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、平成7年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。


経歴

1981年 日本医科大学医学部卒業
1988年 米国ローレンスリバモア国立研究所 留学
1994年 日本医科大学 産婦人科学講師
1995年 東京都教職員互助会三楽病院 産婦人科科長
1995年 日本医科大学 産婦人科学客員講師
2004年 三鷹レディースクリニック開業



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